2013年8月31日土曜日

防衛省、水陸両用部隊など予算要求へ:再来年度にオスプレイ導入も


 防衛省は、来年度予算案の概算要求について、南西諸島など島しょ部の防衛を強化するため、アメリカ海兵隊のような水陸両用作戦を専門とする新たな部隊を編成する経費など、およそ4兆8900億円(今年度予算より2.9%多い)を求めることを決めました。昨晩のNHK ニュースなどが伝えました。

 再来年度に、新型輸送機オスプレイと高い機能を持つ無人偵察機の導入を目指す経費として合わせて3億円が含まれています。さらに、北朝鮮による弾道ミサイルの発射に備えて、東京・市ヶ谷の防衛省に地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」を常時配備する経費として17億円を盛り込んでいます。

 軍事対抗主義は戦争を誘導する危険を増すばかりで、このような予算請求は無駄遣いに加えて、悪影響をもたらすものにほかなりません。憲法九条を守り活かすことこそが真の防衛です。

多幡記

2013年8月30日金曜日

「維新」による "堺のっとり" ノー:住みよい堺市をつくる会


 「住みよい堺市をつくる会」は2013年8月2日に臨時総会を開き、9月に予定される堺市長選挙(9月15日告示、同29日投開票)で「維新の会が候補を擁立するならば、堺市乗っ取り、廃止・解体を許さない立場で、現職の竹山市長を支持し、つくる会として全力をあげる」方針を確認しました。

 臨時総会は、「大阪都構想」による堺市廃止・解体を阻止し、くらし、福祉、地域経済を堺市全体で守るための宣伝をひきつづき強化すること、パンフ「堺市ビジョン2013」を使った宣伝・対話をすすめることも、あわせて確認しました。

 (以上、同会ホームページに掲載の「メッセージ」から。上掲のイメージは、同会のA4判4ページ2つ折りチラシの第1面。本記事の見出しにある「『維新』による "堺のっとり" ノー」の言葉は、同チラシの第2面から。)

(文責・多幡)

2013年8月29日木曜日

8/31「知る権利が危ない! Part III 秘密保全法と憲法改悪の狙い」:大阪弁護士会シンポジウム


 表記のシンポジウムが次の趣旨と要領で開催されます。

【趣旨】政府は、この秋の国会に法案を提出し、「秘密保全法」を作ろうとしています。この「秘密保全法」は、知る権利や取材・報道の自由に重大な脅威を与えるとともに、国民が国政について判断し決定するにあたり前提となる重要な情報の入手を制限する点で国民主権原理に反します。そして、「秘密保全法」制定の動きは、憲法を変えようとする動きと密接に関わるものです。
 大阪弁護士会は、ジャーナリストの江川紹子さん、憲法学者の清水雅彦さん、新聞記者の臺宏士さんをむかえて、「秘密保全法」の危険性を「憲法改悪」という切り口から皆さんと一緒に考えたいと思います。

【出演者】江川紹子氏(ジャーナリスト)
     清水雅彦氏(日本体育大学・准教授)
     臺 宏士氏(毎日新聞社記者)
【参加費】無料
【開催日】2013年8月31日(土)
【開 会】13時00分(12時30分開場)
【閉 会】16時30分
【会 場】大阪弁護士会館 2階ホール
【進 行】1 基調講演
     2 特別報告
     3 寸劇
     4 パネルディスカッション

 裏面に会場の地図と参加申し込み様式(FAX送付用)つきのチラシがこちらでダウンロードできます。また、インターネットでの参加申し込みはこちらでできます。

(文責・多幡)

2013年8月27日火曜日

世界遺産に実弾:陸上自衛隊の「富士総合火力演習」


 本ブログは先般、富士山麓に自衛隊と米軍共同の軍事演習場が広がっているのは世界文化遺産にふさわしくないことを詠んだ、浅井千代子さんの詩「胸に手を置いて」を掲載しましたが、陸上自衛隊による国内最大規模の実弾射撃演習「富士総合火力演習」が、8月25日、東富士演習場で一般公開されました。演習では、富士山麓に向けて、戦車や戦闘ヘリコプターなどが例年と同様、次々と火砲を撃ち込みました。『FNN ニュース』『しんぶん赤旗』などが伝えています。

 『しんぶん赤旗』はこれに関連して、「法規制逃れ 山肌削る:世界遺産の価値と相いれず」と題する記事も掲載しています。その記事は、東富士、北富士両自衛隊演習場を、世界文化遺産の登録に求められている緩衝地帯(構成資産の核心地帯周辺の、資産を守るための区域としてユネスコの監視下におかれる)に含めることに対し防衛省が難色を示したこと、その結果、演習場は「新たな規制はなにもない」という実態であること、これは世界遺産の原動力となった「進行の対象」「芸術の源泉」と言う普遍的価値とは相いれないものであること、などを指摘しています。

多幡記(挿絵とも。挿絵は「胸に手を置いて」で使ったものの戦車周辺を暗くして、世界文化遺産の自然と演習場の明暗の対比を、より象徴的にしました。)

2013年8月26日月曜日

「女性は憲法を守ります」:母親大会で7500人がエール交換


 「生命(いのち)を生み出す母親は 生命を育て 生命を守ることをのぞみます」のスローガンを掲げ、子どもたちの明るい未来を願って、「第59回日本母親大会 in 東京」が、8月24日(全体会、幕張メッセ)と25日(分科会、東京都内各所)に行なわれました。全体会には、全国から7500人が参加し、2階の舞台裏まで埋まりました。「女性は憲法を守ります」と会場全体でエールが交換されました。

 主催者を代表して、日本母親大会代表委員の笠井貴美代さん(新日本婦人の会会長)があいさつしました。社会保障の充実、まともな雇用、原発ゼロ、憲法など切実な女性の願いをあげ、「どの分野でも国民的運動の出番。安倍自公政権の暴走と歴史の逆行を許さず、より広範な女性団体と手をつなぎ、仲間を増やし、怒りの行動で国会を包囲する新たなたたかいの出発点にしよう」と呼びかけると、大きな拍手がわきました。

 憲法を生活のすみずみに、誰もが人間らしく生きられる核兵器のない21世紀の実現をめざして行動しようと決議とアピールを採択しました。弁護士で伊藤塾塾長の伊藤真さんの「憲法のいきづく国へ」と題する記念講演と、前進座による朗読劇「死んでもブレストを」の上演もありました。2日間合わせて、のべ1万2700人が参加し、幕を閉じました。

 以上、『しんぶん赤旗』記事(こちらこちら)を参考にしました。

多幡記

集団的自衛権の憲法解釈「変更」反対59%:朝日新聞社世論調査


 8月26日付け朝日新聞は、同新聞社の「全国定例世論調査(電話)によると、憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることについて、賛成は 27% で、反対の 59% が大きく上回った」と報じました。

 男女別などの内訳は次のようになっています。
  • 男性:賛成38%、反対54%
    女性:賛成17%、反対64%—反対が賛成の3倍以上。
  • 安倍内閣の支持層(55%):賛成37%、反対49%—反対多数。
       同不支持層(27%):賛成13%、反対81%—圧倒的反対。
  • 自民支持層(38%):賛成37%、反対48%—反対多数
     無党派層(45%):賛成21%、反対63%—同じく反対多数

 他に、安倍首相の経済政策、消費税の引き上げ、安倍首相の終戦の日への対応、東京都でのオリンピック開催などについて調査しています。詳しくはこちらをご覧下さい。

(文責・多幡)

2013年8月25日日曜日

「九条の会」メルマガ第171号;ナチスの「手口」ってこれかな?


 「九条の会」メルマガ第171号(2013年8月25日付け)が発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。

 「事務局からのお知らせ」として次の記事などがあります。
他にも多くの記事が掲載されています。以下に、編集後記を引用して紹介します。
編集後記~ナチスの「手口」ってこれかな?

 内閣法制局長官人事は、政府は口出ししないで、局内で憲法解釈担当の部長から局次長を経て持ち上がりという慣例だったという。安倍内閣は、突然、これを破って、専門外の、政府の意のままになる外務省の小松一郎前駐仏大使を強引に据えた。麻生さんが言ったのはまさかこういう「手口」のことではないでしょうね。

 なお、メルマガ読者登録はこちらでできます。

2013年8月23日金曜日

六月の空

詩・浅井千代子(本会世話人)

「おばちゃんの詩集、貰って帰っていい
 他の国の友人にも読んでもらいたいの」
と電話に出た姪
アメリカへ帰る支度中らしい
具合が悪いという兄の声が聞き度くて
電話を入れた六月の或る日の午後
詩集とは以前兄に届けた小冊子

姪は大学卒業後
宝石デザインの勉強にアメリカへ
其の後彼の地で中国人男性と結婚
三女をもうけロス・アンジェルスに住む
今回長女が東日本大震災被災地に
ボランティアで訪れ同じ活動の京都の
男性と結ばれ
先日大阪市内の教会で結婚式を済ませたばかり
「いいよ! どうぞ…」
私の小さな詩集が海を渡って見知らぬ国の
普通の人が読んでくれる
反対する理由なんてない
「見送れなくて御免ね 元気でね 又ね」

詩集は
平和憲法九条
「随想詩集・あの頃」
表題もデザイン表紙も
鍋嶌孝之助さんの手づくり
かつて大阪で
「明日も晴れ九条の会」の会報編集者だった方
私の数篇の投稿詩を冊子にまとめ送って下さった
善意の小さな一冊

これからも書きつづけるのみ
梅雨が遠い
六月の青い空が
どこまでも広がっている
姪が飛んでゆく
あの空

『異郷』第25号(2013年7月)から
イメージは、浅井さん手製の9条バッジをあしらった絵葉書。

2013年8月22日木曜日

「岐阜・九条の会」がオリジナル9条ポスター


 「九条の会」メールマガジン第170号に「活動報告~9条ポスターの件で、お願いがあります~岐阜・九条の会」という記事がありました。

 そこには、「岐阜・九条の会」では、「九条の会」の新しいポスターを外に貼り出すと、3ヵ月ほどで色が剥げ落ちてしまったので、もっと長もちのするオリジナルポスターを作り、岐阜県の全県下に3,000枚を貼り出し、500枚を追加注文したとの、活動が記されていました。そして、「九条の会」のポスターも、丈夫で長持ちし、みんなが進んで貼り出したくなるようなポスターにしてほしいとの要望が述べられていました。

 「岐阜・九条の会」のホームページを訪れてみると、オリジナルポスターは、上に掲載した2種類の、世界に輝く9条にふさわしい、すてきなデザインのものと分りました。

 同会宛にポスターのコピーを本ブログに掲載して紹介するお許しを求めたところ、同会事務局長・加藤久雄さんからご快諾いただくとともに、「このポスターは、全国どこでも使えます。すでに、東京、愛知、石川、埼玉などの県でも使われています。選挙用のポスターと同じ仕様ですので、屋外でも半年以上はもちます。連絡下されば、ポスター代は無料。郵送料(着払い)だけでお送りします」という、嬉しいお知らせもいただきました。加藤さんの連絡先は、Tel 090-6644-9048です。

多幡記

2013年8月21日水曜日

見出しの不適切が真意を損ねる:朝日紙のキャロル・グラックさんインタビュー記事


 2013年8月20日付け朝日紙「オピニオン」欄に「安倍政権と戦争の記憶」と題して、キャロル・グラックさんへのインタビュー記事が掲載されていました。キャロル・グラックさんは、米コロンビア大学教授で、同大学東アジア研究所に所属し、米国における日本近現代史、思想史研究の第一人者です。

 印刷版のこの記事には大きな活字で、それぞれ3行におよぶ中見出しが二つあります(インターネット版にはありません)。それらは次の通りです。
右傾化報道は極端
米国が支えた戦後
「脱却」は本意か

過去の行為の謝罪
世界の新常識に
国内問題視は誤り
問題は最初の中見出しのほうです。忙しい読者は見出しだけを見て内容を知ろうとするでしょう。その場合、「右傾化報道は極端」とあれば、グラックさんは、「日本のメディアが、安倍政権は右傾化していると報道しているのは極端です」と発言したと捉えてしまうでしょう。しかし、記事中のグラックさんの言葉は「日本に関する海外メディアの報道は極端で、しかも浅い」というものです。

 これは、「参院選でも大勝した安倍政権について、米メディアでも右傾化を懸念する意見が見受けられますが」というインタビューアーの問いかけに答えたものですから、グラックさんの「海外メディアの報道は極端」という言葉の中の「報道」には、「右傾化報道」も含まれてはいるでしょう。しかし、中見出しには、どこの報道かが表現されていないので、まず、一つの誤解のもとになります。さらに、次のような意味でも、誤解に導いていると思われます。

 グラックさんはこのあと、「憲法改正を目指すことは、自民党政権として別に新しいことではありません」とか「[『戦後レジームからの脱却』ということと]同種のことを言い始めたのも、別に安倍首相が最初ではありません」と発言しています。これを考えれば、グラックさんは日本の政治が以前から右傾化していることを認めていて、「参院選でも大勝した」結果、「急に右傾化した」と見るのが極端で浅い見方だと指摘していることになります。

 右傾化の道を長年進めば、極右ないしは極々右状態にたどりつきます。その時点で人々が驚き、あわてても間に合いません。日本のメディアは安倍政権の右傾路線を大いに批判すべきです。

 最初の中見出し2行目の「米国が支えた戦後」にも問題があります。この表現では、グラックさんは「米国は日本に対してよいことをしてきた」といったように取れますが、この中見出し部分に相当する記事中のグラックさんの言葉には「支えた」という言葉はなく、「[戦後]米国が、日本の記憶とシステムを『冷凍』していた」といっていて、むしろ、悪影響を及ぼしてきたといっていると取れます。

 二番目の中見出しは、グラックさんの「それ[戦争の記憶に対処する『謝罪ポリティクス』]は世界的な『新しい常識』です。自民党が国内政治として扱おうとしても、それとは別種の国際環境が存在している」という発言からきていて、問題ありません。これに先立って、グラックさんは「安倍首相を含む自民党の右派政治家たち」が「加害責任を否定することで、国内の支持をえようとして」きて、その姿勢がすぐに海外に流れることに気づいていないのは、「一種の『地政学的無神経』」と、強く批判しています。

 グラックさんは、「在日コリアンへの悪意に満ちたデモなど、ヘイト・ナショナリズムには懸念を持っています。これは安倍首相よりもはるかに危険です」「軍備に軍備で対抗するのは、ばかげています」という発言もしています。これらは、小見出しにでもして強調してほしかったところです。

多幡記

2013年8月19日月曜日

「戦争は、政治の失敗と非日常的倫理・道徳の空間」:保阪正康氏


 敗戦の日を前にした8月11日の朝日紙「ニュースの本棚」欄に、ノンフィクション作家の保阪正康さんの「戦争観と戦後史:老・壮・青はどう見てきたか」と題する文が掲載されていました。

 保阪さんは「戦争」についての基本的な理解は二つの点にしぼられるとして、カール・フォン・クラウゼヴィッツの有名な言葉「戦争は政治の延長」をかみくだいた、戦争は「政治の失敗」に起因するということと、戦争は「非日常の倫理・道徳が支配する空間」ということを、まず述べています。そして、この理解の上に立って、「まっとうな戦争観を真摯(しんし)に確認するために今読むべき書」として、「老壮青という三つの世代が読んできた書」を紹介しています。

 「老」の世代の書としては、吉田満(1923年生まれ)の『戦艦大和ノ最後』を挙げ、国家の歯車でよしとする兵学校出身者と、それだけではあるまいと反論し、戦争を「政治の失敗」とみる意識のある学徒兵の論争の場面に、「戦争の本質が凝縮している」と評しています。

 「壮」の世代の書としては、小田実(1932年生まれ)の『「難死」の思想』を挙げています。「散華(さんげ)」(筆者注:本来は仏教上の言葉ですが、誤って、戦死を美化する表現に用いられています)ではなく「難死」ともいうべき多くの人の戦争被災死について、小田が「私はその意味を問い続け、その問いかけの上に自分の世界をかたちづくって来た」と書いて、「真の戦争観の確立をわれわれは成し得ているかとの問いをつきつけ」ている、と紹介しています。

 「青」の世代の書として、加藤陽子(1950年生まれ)の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(上掲のイメージはそのカバー)を挙げ、「中高生に日清戦争から太平洋戦争までの近代日本の戦争の内実を平易に語っている」と紹介し、また、「加藤の姿勢には戦争の二つの基本的な理解につながる誠実さがある」と評しています。そして、「三つの世代がそれぞれの世代の書にふれることで、戦争観はより強固な戦後史として定着していく」と結んでいます。

 「三つの世代がそれぞれの世代の書にふれる」のは、ある程度自然な成り行きでしょうが、三つの世代がそれぞれの世代を超えた書にふれるように努めることも重要でしょう。筆者は生年からいえば、小田実の世代に属しますが、上記の加藤陽子の書を、いまは亡き丸谷才一のエッセイ「史料としての日記」[『図書』No. 746, p. 32 (2011)]が絶賛しているのを読み、その書を読んでみたいと思いながらも、まだその思いを達成していません。丸谷が、一点においてだけ、加藤の記述に異論を唱えていることに興味をいだき、そのエッセイの掲載号をまだ廃棄していませんでした(ここに、その異論を紹介すれば、廃棄できることになります)。

 異論の対象になっているのは、加藤が「いろいろな業種の日本人五人[政治学者・南原繁、中国文学研究者・竹内好、小説家・伊藤整、山形県の農民・阿部太一、横浜の駅員・小長谷三郎]の、日米開戦に際しての感想を引き、うち一人[南原繁]のものを除いてはこの戦争に好感を抱いている、彼らはこのいくさを歓迎したと判定」(丸谷の文から。[ ]内は説明のため、同じ文の他の箇所から筆者が拾って挿入)しているところです。丸谷は、竹内好の文章は大東亜戦争賛美に名を借りて日中戦争を非難する方に力点をかけてあると見、伊藤整の日記については大東亜戦争それ自体を賛美し肯定しているわけでなく慎重に言葉を選んで書いていると見て、そういうところを「感じ取ってもらいたかった」と述べ、この好著を惜しんでいました。

 ところで、保阪さんの「非日常の倫理・道徳が支配する空間」という言葉をいい換えれば、「狂った空間」ということにもなるでしょう。そして、保阪さんの「戦争についての二つの基本的理解」をもとにして考えれば、軍備の増強・拡張を進める政権は、自らの失敗を予想して、「狂った空間」を作り出すことに精を出しているいるものといえましょう。いまの安倍政権は、集団的自衛権の容認や、憲法改悪によって、まさにそういう愚かな政策を進めようとしているではありませんか。私たちは、これに対して No! をつきつけなければなりません。

多幡記

2013年8月17日土曜日

「集団的自衛権」:米国の発案で国連憲章に入るも、国連の「集団安全保障」の精神に反する


 安倍政権は、戦争放棄と戦力不保持を掲げた憲法9条を変え、日本を再び「海外で戦争する国」に作り変えようとしています。その一歩として、歴代政権が「憲法上できない」としてきた「集団的自衛権」の行使を、年内にも可能にしようとしています。

 「集団的自衛権」は、1945年に署名・発効した国際連合(国連)憲章の第51条において初めて明文化された権利です。国連は、第1次世界大戦後にできた国際連盟の「集団安全保障」の仕組みの不徹底を改め、本格的な「集団安全保障」体制を確立することを目指して、第2次世界大戦後に発足しました。具体的には、国連憲章で個々の加盟国に対して武力による威嚇・武力の行使を禁止し、侵略発生時には、安全保障理事会が制裁措置を決定し、そのもとに各国が行動することになっています。

 ところが、戦後、世界の覇権を狙っていた米国は、国連の統制を受けないで軍事行動をとることができるように、「集団的自衛権」を発案し、ソ連も賛成して、国連憲章に上記の第51条が盛り込まれました。その結果、戦前をはるかに上回る規模で、軍事同盟の網の目が張り巡らされ、多くの国が「集団的自衛権」を口実に、米ソ両国が引き起こした侵略戦争に動員されました。これは国連がめざす「集団安全保障」に真っ向から反する状況なのです。

 安倍政権は、国連の正しいあり方よりも、米国との軍事同盟である日米安全保障条約を尊重して、米国の求めるままに、日本の軍隊が海外で戦争できるようにすることを目指しているのです。なんと浅はかな発想ではありませんか。

 (『ウィキペディア』の「集団的自衛権」の項と、『しんぶん赤旗』の2013年8月16日付け記事「集団的自衛権 Q&A 1」を参考にしました。)

 後日の追記:『ウィキペディア』英語版の "Chapter VII of the United Nations Charter" (国連憲章第7章)中の "Article 51"(第51条)の項には、次のように、同条について批判のあることが記されています。
"Article 51 has been described as difficult to adjudicate with any certainty in real-life situations (Glennon, Michael J. (2001-2002), Fog of Law: Self-Defense, Inherence, and Incoherence in Article 51 of the United Nations Charter, The 25, Harv. J.L. & Pub. Pol'y, p. 539)."[第51条は、現実の状況のもとでは、確実に裁定することが困難であると述べられている(Glennon, Michael J. の論文「法律の霧:国連憲章第51条における自衛、一貫性、および矛盾」参照)。]

多幡記

2013年8月15日木曜日

8/19 北村春江さんを囲んで「戦争につながる道に一歩でも踏み込んだら、後は泥沼」:9条世界会議・関西の成功をめざすプレ企画/大阪


 「9条世界会議・関西2013」[10月13日(日)・関西大学千里山キャンパス、10月14日(祝)・大阪中央体育館]を前に、その成功をめざすプレ企画が、8月19日午後6時半から、大阪市北区の大阪弁護士会館で開かれます。元芦屋市長で弁護士の北村春江さんが「戦争につながる道に一歩でも踏み込んだら、後は泥沼」と題して、戦争体験と9条への思いを語ります。詳細はチラシ(こちらからダウンロードできます)をご覧下さい。

(文責・多幡)

8/20 座・九条: Shihohkan Improvisation Live「八月の無言歌」/大阪


この子を残して――
  此の世をやがて私は去らねばならぬのか!

――そこへ不意に落ちてきたのが原子爆弾であった。
ピカッと光ったのをラジウム室で私は見た。
その瞬間、私の現在が吹き飛ばされたばかりでなく、
過去も滅ぼされ、未来も壊されてしまった。
     ー永井隆「この子を残して」より

  • 日時:8月20日(火)開場=PM 7:00 開演=PM 7:30
  • 会場:座・九条(大阪市西区九条1丁目28番20号:住所をクリックすると地図が出ます)
  • 料金:2000円、1 Drink 付
  • Dance:末永純子・岡林 綾
  • Music:Viora 大竹 徹、Keybord 杉谷昌彦
  • Coordination:林田 鉄
  • 連絡先:座・九条 06-6581-9833 or 090-9213-8428

2013年8月14日水曜日

堀越二郎の敗戦当日の日記


 宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』は、堀辰雄の小説『風立ちぬ』からの着想も盛り込みながら、航空技術者・堀越二郎(1903–1982)をモデルに、その半生を描いています。その堀越二郎の敗戦当日の日記が、永六輔さん監修の本『八月十五日の日記』(講談社、1995)にあるとして、8月13日付け『しんぶん赤旗』の「まど」欄が紹介しています。

 日記は次の通りです。
 日本が、否日本の軍部とそれと結ぶ政治家が、外交で平和的に打開することをせず、武力に訴える所まで短気をおこしたのが、戦争の原因ではなかったか。日本に壊滅をもたらした政策を指導して来た者が全部去らなければ、腐敗の種は残る。「誠実にして叡智(えいち)ある、愛国の政治家出でよ」これが願いである。

 「まど」子は、「いまの三菱重工で兵器の開発に携わった人物ですが、日本が無謀な戦争に突入していった本質を突いています」と評しています。

 いま安倍政権が、集団的自衛権の行使を可能にして、日本を、アメリカとともに海外で戦争の出来る国にしようとしているのは、再び「外交で平和的に打開することをせず、武力に訴える所まで短気をおこ」そうとしているとしか思えません。私たちは、そのような政治の流れを、うかうかと見過ごしていてはいけません。

多幡記

2013年8月13日火曜日

91歳の元兵士、戦争証言集をインターネットに:朝日紙が紹介


 「体で知っている戦争のばかばかしさを、しっかりと伝え残しておきたい」と、文集『朝風』に収録された原稿を、91歳の元兵士、佐藤貞(ただし)さんがホームページ『朝風』(2004年立ち上げ)に載せる作業を続けていて、現在105編を収録していることが、2013年8月13日付け朝日新聞に紹介されました。若い人たちからも感想が寄せられているということです。収められた生々しい記録を読んで、戦争することの愚かさを会得しましょう。

 本会も、地域の中の戦争を記憶している人たちの体験を聞き取り、機関紙『憲法九条だより』と本ブログに掲載しています。ブログ掲載分は、ラベル「戦争体験」のもとにまとめてあります。

多幡記

2013年8月12日月曜日

胸に手を置いて

詩・浅井千代子(本会世話人)



今まで一度も富士山に登った事もない人間が言うたら
 おかいしやろか
小さい時昔の東海道線で東京の往き帰り
汽車の窓から富士山眺めただけの人間が
言うたら生意気やろか
母の故郷 山梨県へ小学六年生の夏休み
従姉妹と訪れ
山中湖のほとりで富士山を眺めながらおにぎりを食べた
 思い出しかない人間には
言う資格なんかないのやろか

今盛んに
富士山を世界文化遺産に言うて躍起になってはる人
 ようさんいてはるけど
そらわたしもそうなったら嬉しい
けど一寸待てよと言う声が心の底の方から
聞こえるんや
なんで言うたら
富士山麓の東と北には
自衛隊と米軍共同の軍事演習場が広がっていて
常に実戦さながらの戦闘訓練が行われ
戦車はもとより今後はオスプレイも参加?するらしい
勿論実弾は富士山麓めがけて打ち込まれていると言う
江戸時代富士山をこよなく愛し称え
その名を世界に知らしめた
北斎や広重
あの世でさぞさぞ嘆いてはるやろなぁ

樹海に囲まれ
人知れず存在する戦争化粧の別の顔を持つ富士山
世界文化遺産なんて恥かしい
情けのうて悲しい
平和の象徴であってこそと思うのは
わたしのエゴか?

胸に手を置いて
問いつづけている
『異郷』第25号(2013年7月)から
絵・多幡達夫

 注:富士山は、2013年6月22日、遺憾ながら「戦争化粧の別の顔を持つ」まま、世界文化遺産に登録されました。

2013年8月11日日曜日

麻生「ナチス発言」は本音:丸山重威氏が分析


 麻生副総理が「ナチスを例に挙げたことが誤解を招いた。撤回する」と弁明しながら、謝罪も辞任もしないことについて、元関東学院大教授・ジャーナリストの丸山重威(まるやま・しげたけ)氏が「安倍改憲戦略と麻生発言の本質」と題する一文を『しんぶん赤旗』に寄稿しました(8月9日付けで掲載)。氏は、この発言は「本音」であり、安倍内閣の改憲戦略と密接に関わっていることを問題にしなければならない、と述べています。私は氏の見方に全く同感するものであり、以下に寄稿の概略を紹介します。

 丸山氏はまず、ナチスの政権獲得から80年になる今年、メルケル首相が1月30日に「ナチスの台頭は、彼らと共に歩んだ当時のドイツのエリートや彼らを黙認した社会があったため可能になった」と述べた言葉を引用して、ヒトラーが最も民主的な憲法だとされたワイマール憲法の下で、合法的に政権を獲得し、その後「全権委任法」という民主主義憲法下では考えられない法律を制定して暴走したことを説明します。そして、麻生副総理が、ナチスのこのような手法を指して「いつの間にか憲法が変わっていた」「これを見習わなければならない」と述べたことは、安倍政権の改憲戦略である当面の解釈・立法改憲路線の具体論だと指摘します。

 安倍内閣は、集団的自衛権の行使を可能にするため、安保法政懇の答申を得て、「集団的自衛権は認められない」とするこれまでの政府解釈を改めて、「国家安全保障基本法案」を成立させようとしており、これに備えて、すでに内閣法制局長官も交代させています。この法案は、憲法9条を骨抜きにする憲法違反の「下克上立法」ですが、国会の多数で成立すれば、ナチス政権下の全権委任法のように、違憲の集団的自衛権行使が「合法的」にできることになります。麻生発言はこのように安倍改憲戦略と見事に符合するもの、と丸山氏は分析しています。

 私たちは安倍内閣のこうした恐ろしい計画に気づき、草の根からの反対の声を大きくしなければなりません。

多幡記

2013年8月10日土曜日

日本政府は被爆国の原点に返れ:長崎平和式典で田上市長が平和宣言


 長崎が被爆から68年の原爆の日を迎えた8月9日、長崎市主催の平和式典が爆心地に近い平和公園で開かれ、田上富久長崎市長が「平和宣言」を発表しました。その中で次のように、日本政府に対して被爆国としての原点に返るよう求めたことが注目されます。
 日本政府に、被爆国としての原点に返ることを求めます。
 今年4月、ジュネーブで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で提出された核兵器の非人道性を訴える共同声明に、80か国が賛同しました。南アフリカなどの提案国は、わが国にも賛同の署名を求めました。
 しかし、日本政府は署名せず、世界の期待を裏切りました。人類はいかなる状況においても核兵器を使うべきではない、という文言が受け入れられないとすれば、核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を日本政府は示したことになります。これは二度と、世界の誰にも被爆の経験をさせないという、被爆国としての原点に反します。
 インドとの原子力協定交渉の再開についても同じです。
 NPTに加盟せず核保有したインドへの原子力協力は、核兵器保有国をこれ以上増やさないためのルールを定めたNPTを形骸化することになります。NPTを脱退して核保有をめざす北朝鮮などの動きを正当化する口実を与え、朝鮮半島の非核化の妨げにもなります。
 日本政府には、被爆国としての原点に返ることを求めます。
  非核三原則の法制化への取り組み、北東アジア非核兵器地帯検討の呼びかけなど、被爆国としてのリーダーシップを具体的な行動に移すことを求めます。
 ここに指摘された日本政府の最近の姿勢も、まさに、既報のオリバー・ストーン監督の言葉にある「日本は道徳的な大国になっていない」という事実の一端です。「平和宣言」の全文はこちらでご覧になれます。

多幡記

「九条の会」メルマガ第170号;「九条の会」を意識しながら自民党が「改憲草案全国対話集会」


 「九条の会」メルマガ第170号(2013年8月10日付け)が発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。

他にも多くの記事が掲載されています。以下に、編集後記を引用して紹介します。
編集後記~「九条の会」を意識しながら自民党が「改憲草案全国対話集会」

 自民党が改憲草案の PR を目的に9月以降の開催を目指す全国対話集会は、党幹部らが地方に赴き、少人数で国民と意見交換する「ふるさと対話集会」の憲法版。昨年4月に発表した草案作りの経緯などを説明し、改憲の機運を盛り上げるのが狙い。この準備の中では、全国各地の草の根で奮闘する「九条の会」に対する露骨な対抗意識があおられているようです。

 なお、メルマガ読者登録はこちらでできます。

2013年8月9日金曜日

国連勧告を無視する日本、戦争への道をひた走った姿そのまま:赤川次郎氏がエッセイで指摘


 『図書』誌2013年8月号 p. 48〜50 の「人生の誤植」と題するエッセイで、赤川次郎さんは、若い頃に校正の仕事をしていたため、誤植を見つけるのが得意だという話から書き始めています。その中で注目すべきは、「本の誤植は訂正すれば済むが、『国家の誤植』は一旦誤れば莫大な犠牲を払わない限り訂正することはできない」とまとめている本論の部分です。

 その本論は、まず、「公の場での責任ある立場の人間の発言は、訂正して済むものではない」として、国連の拷問禁止委員会の席で上田大使が行なった非礼な「シャラップ!」発言、自民党の高市早苗議員の「原発事故で死者は出ていない」発言などを取り上げています。そして、「驚くのは、そのいずれも『反省』したり『撤回』したりすれば『なかったことになる』という日本でしか通用しない『常識』が、ジャーナリズムにまかり通っていることである」と指摘しています。

 このエッセイが書かれたあとで出現した、麻生太郎副総理の「ナチスの手口に学べ」発言も、いま、その非常識な「常識」によって、なかったことにされようとしています。

 赤川さんは、さらに、次のように述べています。
 国連は日本に冤罪の温床となる代用監獄の廃止などを何度も勧告して来た。死刑廃止に向けた取り組みも同様だが、日本はそのすべてを無視して来た。さらに国連は橋下市長の[慰安婦問題への]発言に対し、日本政府が反論することも求めたが、それにも「法的拘束力はない」から「従う義務はない」と決定した。[…]世界がどう言おうが、日本は日本のやり方を押し通すのだ、という姿勢は、戦前の国際連盟を一人脱退して戦争への道をひた走った軍国日本の姿そのままである。
これは、決して誇張でも、やぶにらみの意見でもなく、全くその通りの、危険な状況を直視した言葉だと思います。ここに述べられている日本の姿勢は、先に紹介した米映画監督、オリバー・ストーン氏の「日本は[…]道徳的な大国になっていない」という言葉を裏書きする事実の一端でもあります。

多幡記

2013年8月7日水曜日

8/6〜8/11 2013年平和のための京都の戦争展



戦争の真実を見つめ 核兵器廃絶と平和を願う
2013年(第33回)平和のための京都の戦争展


8月6日(火)〜8月11日(日)
連日 am 9:30〜pm 4:30
入場無料

〈展示企画〉
戦争の歴史を学び現代の平和を考えよう
(「大東亜共栄圏」とは何だったのか)
未解決の戦争被害問題/京都と空襲・建物疎開
原爆と原発「人類と核エネルギーは共存できない」
核兵器の廃絶を
憲法9条をもっと輝かせよう

立命館大学国際平和ミュージアム
中野記念ホール
京都市北区等持院北町56-1
(交通アクセスはこちら

(平和ミュージアム常設展:
戦争展期間中は小中学生無料 高校生・大学生・大人は団体料金)

よびかけ人(50音順・敬称略)
安齋育郎(立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長)/岩井忠熊(立命館大学名誉教授)/川村哲嗣(日本ナザレン教団上京教会牧師)/久米弘子(弁護士)/里雄康意(真宗大谷派宗務総長)/信楽香仁(鞍馬寺貫主)/茂山あきら(狂言の役者)/高石ともや(フォークシンガー)/外山雄三(音楽家)/広原盛明(京都府立大学元学長)/益川敏英(名古屋大学KMI素粒子宇宙起源研究機構長)/松本章男(随筆家)/三宅成恒(核戦争防止国際医師会議京都府支部代表)/宮城泰年(聖護院門跡門主)/望田幸男(非核の政府を求める京都の会常任世話人)/森清範(清水寺貫主)

後援: 朝日新聞社京都総局 京都新聞社 共同通信社京都支局 毎日新聞京都支局 KBS京都 京都府保険医協会 京都私立病院協会 京都キリスト教協議会 核戦争防止・核兵器廃絶を訴える京都医師の会

主催:平和のための京都の戦争展実行委員会 事務局・連絡先 〒602-8026京都市上京区新町丸太町上がる春帯町350 TEL.075-231-3149 FAX.075-211-6474

チラシのダウンロードはこちら

「日本は道徳的な大国になっていない」:米映画監督オリバー・ストーン氏が指摘


 米映画監督のオリバー・ストーン氏とアメリカン大学教授のピーター・カズニック氏は、8月6日、原水爆禁止世界大会・ヒロシマデー集会で、「米国という帝国に、みんなが立ち上がる力になるプロジェクトを進めている」、「戦争を起こさせないために強くなり、たたかおう」と訴え、会場内から共感と連帯の拍手がわきあがりました。8月7日付け『しんぶん赤旗』が「原水爆禁止世界大会・広島:ストーン監督、被爆者と語る 戦争させない たたかいを」と題する記事で伝えています。

 カズニック氏が、ストーン氏と脚本を共同執筆したドキュメンタリー『もうひとつのアメリカ史』において、米国の戦後の軍事外交政策を正当化する「ウソ」を暴いたことなどを説明したこと、また、ストーン氏が「(戦後)ドイツは反省と謝罪の下で平和を守る国に変わったが、日本は米国の従属国のままで、経済大国だとしても道徳的な大国になっていない」と指摘したことなども、上記の記事は述べています。

 いま、国際政治の上での日本の道徳性を、かろうじて細い糸でつなぎ止めているものがあるとすれば、それは憲法9条の存在です。憲法9条を変えてしまえば、日本の道徳性は壊滅することになるでしょう。そのような事態を招かないように、私たちは憲法9条をぜひ守り活かさなければなりません。

 なお、『もうひとつのアメリカ史』の和訳は、「1 二つの世界大戦と原爆投下」(上掲のイメージは、同書のカバー)、「2 ケネディと世界存亡の危機」「3 帝国の緩やかな黄昏」の3巻として、2013年に早川書房から発行されています。

多幡記

2013年8月5日月曜日

不思議な鼻

詩・浅井千代子(本会世話人)



男はそれは不思議な鼻の持ち主でした
鼻は自在に伸び
時にはムチに或はタクトに
魔法のように使い分けられました
その強権と独断が
あたかも改革 進歩と捉えられ
多くの信奉者が
吾も吾もと
すり寄っていくのでした

鼻は
その後も伸びに伸び
伸び過ぎてとうとう
男の首に巻きついてしまいました
予期せぬ出来事に
男は大慌て
そして叫びました
助けて——
オスプレイさま——???

『異郷』第25号(2013年7月)から
絵・多幡達夫

2013年8月3日土曜日

安倍政権の矛盾と改憲の危険性


 高橋哲也・東大大学院教授が、『世界』2013年7月号に「自壊する歴史認識」と題する論文を発表しています。その中で高橋氏は、日米同盟の強固な支持者であり、ことあるごとに自由と民主主義の価値観を強調する安倍首相が、戦後レジームを否定するのは、自己矛盾だと指摘しています。また、日本国内でしか通用しない歴史逆行の論理を公言し、米国に批判されると引っ込める情けない姿勢をあらためない限り、国際社会での日本の孤立がいっそう加速するとも指摘し、この政権が、海外で軍事行動を行なうために改憲を推進することの危険性を警告しています。——7月31日付け『しんぶん赤旗』の「論壇時評」欄(谷本諭氏・筆)が伝えています。

 同欄は、先に本ブログが紹介したスタジオジブリ発行の『熱風』7月号で、映画監督の宮崎駿・高畑勳両氏が、それぞれ「選挙をやれば得票率も投票率も低い、そういう政府が…思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほか」、「憲法九条という、世界に向かって掲げた…理想の旗を絶対に降ろすべきでない」などの思いを語っていることも紹介しています。

 私たちの憲法9条を守り活かす運動が、ますます重要になっています。

多幡記

2013年8月1日木曜日

8/14 集会「私はフィリピンで日本軍に性奴隷にされました」(大阪)のお知らせ


8・14 日本軍「慰安婦」メモリアル・デー
軍隊と性暴力の歴史に終止符を!
「私はフィリピンで、日本軍に 性奴隷にされました」

  • 日時:8月14日(水)17:30 開場/18:00 開始
  • 場所:大阪市立住まい情報センター(地図はこちら
  • 内容:
    • 被害者証言:ピラール・フリアスさん/エステリータ・ディさん
    • 報告:フィリピンの解決運動と被害者の現状 レチェルダ・エクストレマドゥーラさん
    • 講演:「日本軍慰安所と米軍の性暴力~沖縄から問う」
  • 資料代:一般 800円/学生 400円
  • 主催:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク

主催者のホームページから(抜粋)

 フィリピンにも、日本軍「慰安婦」制度の被害者はいます。台湾、韓国をはじめ、日本軍が侵攻した至る所、中国、フィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシア、タイ、ビルマ、パプア・ニューギニア等のアジア・太平洋の広大な地域に「慰安婦」被害者たちはいます。植民地インドネシアに住んでいたオランダ人女性たちも日本軍の「慰安婦」にされました。

 だまされたり、銃剣を突き付けられて無理やり連行され、そして、彼女たちを待っていたのは多くの日本軍兵士でした。監禁され、逃げられず、拒否すると殺されるかと思うほどの暴力を受けました。連日連続の強かんは、まさに「性奴隷」としての地獄の日々だったのです。

 今集会は、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動が提起している、「8.14 日本軍『慰安婦』メモリアル・デーを国連記念日に!!」の全国同時行動のひとつとして開催されます。

 8月14日は、1991年に韓国の金学順さんが日本軍「慰安婦」被害者として初めて名乗り出た日です。この勇気ある告発がきっかけとなって、アジア各地の被害女性たちも半世紀の沈黙を破り、日本政府の責任を問い始めました。2012年12月に台湾で開かれた第11回アジア連帯会議で、この日を「日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」とすることが決まりました。

 (上掲載のチラシは、こちらからダウンロードできます。)

(文責・多幡)