2013年2月28日木曜日

大江氏が「希求する」を好んで使う理由

 『図書』誌2013年3月号の大江健三郎さんのコラム「親密な手紙」は「同じ町内の」という題です。このエッセイには、同じ町内の人が二人登場します。一人は小澤征爾さんで、新首相の会見記事を見て、「原発の見通しをいってるが、自分が海外で会って来た友人の誰一人、あれだけ楽観的な者はいない。この報道に抗議は送られて来ないか?」と電話で彼がいうのを聞き、暗然と話し続けたことが記されています。

 もう一人の同じ町内の人は、ベアテ・シロタ・ゴードンさんの死に際し、娘さんが献花を望まれるなら「九条の会」に寄付してもらいたいといわれたとの報道に応じて、大江さんに寄付を託した老婦人です。その婦人は大江さんに、「シロタさんは日本国憲法についてどういう文案または訂正案を出されたのか」という質問をしたので、大江さんはそれに応えて、野上弥生子さんと話した思い出を語ったことが述べられています。

 その思い出は次のようなものです。大江さんは若いときから、エッセイに「希求する」という表現を好んで使っていました。野上さんに、「どうしてあんな古くさい言葉を?」と訪ねられ、大江さんは「新制中学の教室で、出来たばかりの憲法に感動したのがきっかけです」と答えました。憲法第9条に、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」とあるのです。

 大江さんはさらに、この日本文の資料法令とされている英文の、「希求」に相当する部分には、aspire という言葉が使われていて、その言葉の穏やかさと強さに、シロタさんの女性らしい働きを感じる、などと述べたところ、野上さんから、「aspire が女性的というのは、単にあなたの語感です」とやり込められたそうです。

 ——それはともかく、いま日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求しているでしょうか。安倍政権の進める軍事対抗主義、そして憲法を変えようとする勢力の動きは、この希求の誓いを裏切るものではないでしょうか。

多幡記

2013年2月26日火曜日

「九条の会」メルマガ第159号:3/3 九条の会事務局・九条科学者の会共催「学習会」;各地の九条の会の活性化のきざし

 表記の号が2013年2月25日付けで発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。以下に、トップ記事「九条の会事務局・九条科学者の会共催『学習会』」(繰り返してのお知らせですが、開催日・3月3日が迫っています)と編集後記を引用して紹介します。なお、メルマガ読者登録はこちらでできます。
九条の会事務局・九条科学者の会共催「学習会」
  • テーマ:憲法9条の新たな危機に抗して
  • 日時:3月3日(日)13:30~16:00(開場は13:00からで、13:15からオープニンアクト「ベアテ・シロタ・ゴードンさんを偲んで『映画 日本国憲法』の一部上映」があります)
  • 会場:明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー1階1012教室(JR御茶ノ水駅お茶の水橋口下車、地図はこちら
  • 講演1:「日本政治の右傾化と憲法の危機」五十嵐仁氏(法政大学大原社会問題研究所教授・政治学)
  • 講演2:「ここが危ない! 集団的自衛権」松田男氏(大阪市立大学特任教授・国際法)
  • 講演者から質問への回答:コーディネーター 小澤隆一氏(東京慈恵会医科大学教授・憲法学)
  • 参加費:500円
  • 主催:九条の会事務局、九条科学者の会
編集後記~各地の九条の会の活性化のきざし
 事務局におりますと、安倍晋三首相の改憲の動きに危機感を抱いた各地の会の活性化のきざしが感じられます。編集子もさまざまに講演などの要請をいただきますが、日程が重なってお断りすることが少なくありません。できるだけ、お役に立ちたいと思いながらも、うれしい悲鳴です。しかし、今ががんばり時です。気候もそろそろあたたかくなってきます。ポスターも新装準備中です。お互い、また一歩、人びとの中へ踏み出して行きたいものです。

2013年2月25日月曜日

大阪空襲訴訟原告の一人・安野さんの投書が朝日紙に

 紹介が遅れましたが、大阪空襲訴訟原告団メンバーの一人の安野輝子さん(堺市西区)の「空襲被害の実相 伝える義務」と題する投書が、さる2月19日付け朝日紙「声」欄に掲載されました。

 投書は、冒頭で「大阪大空襲などの被災者や遺族らが国に謝罪と損害賠償を求めた控訴審判決で、訴えが棄却され」、原告側が最高裁に上告したことを述べ、「戦争の惨禍を国はやり過ごすのか。空襲犠牲者には謝罪も償いもない。元軍人軍属への手厚い援護とは対照的だ」と、国を批判しています。

 安野さんは続いて、1945年7月、6歳のときに、九州で米軍の空襲によって左足を奪われ、出血多量で死線をさまよった自らの体験と、病院で同室になった銀行勤務の、まだ20代半ばの女性が、爆弾の破片を後頭部に受けていて、その夜も明けないうちに亡くなったという目撃を記しています。そして、生き残った自分は、「この国が再び戦渦にまみれることのないように」、「空襲被害の実相を伝えていくのが責務」と述べています。

 さらに投書は、「国防軍をつくり、憲法を変えるという構想」を批判し、「目指すべきは『命を大切にする国』である。国民の命を軽んじる国は、国民を飢えさせて核を持つ国にも等しいと思う」と結んでいます。政府はこの訴えを尊重し、また、最高裁は人びとの命と健康と平和を重んじる判決を下すことが求められます。

多幡記

2013年2月22日金曜日

4/14『塩花の木々 希望のバスに乗る』上映会:堺市総合福祉会館で



 表記上映会が4月14日(日)堺市総合福祉会館6Fホールで開催されます。主催は、いずみおやこ劇場「もう一度観たい映画」プロジェクト。詳細は上掲のチラシのイメージをクリック拡大してご覧下さい(このページに戻るには拡大イメージのページ右上の × 印をクリック)。

2013年2月20日水曜日

2013年 東日本大震災2周年 復興支援・原発ゼロ 第2回アートフェア
3/1-3 大阪市中央公会堂


 表記の催しが大阪革新懇・大阪美術家革新懇の主催で開催されます。詳細は上掲のチラシのイメージをクリック・拡大してご覧下さい。(このページに戻るには、拡大チラシのページ右上の × 印をクリック。)

2013年2月18日月曜日

3/10 大阪・中之島公園で「さよなら原発 関西2万人行動」


 「さよなら原発 3.10関西2万人行動実行委員会」は、「大飯原発すぐ止めろ!」、「全ての原発を廃炉に」をスローガンとして、3月10日、大阪・中之島公園で集会を開催し、集会後は関電、御堂筋、西梅田の3コースに分かれてデモを行います。

 集会は午前10時30分から水上ステージでの「さよなら原発フェス」をかわきりに、水上ステージ、女神像前(12時30分~)、剣先公園(13時00分~)の3カ所でプレ企画・本集会が開催されます。また、子どもさん向けに「ちびっ子広場」も開設されます(水上ステージ)。

 主催団体では、原発再稼働の動きが強まる中で関西電力のおひざ元である大阪、関西で2万人という過去最大規模の反原発集会を開催する意義は大きいと、家族そろって、地域や団体の組織あげての参加を呼びかけています。

 詳しくは原発ゼロの会・大阪のウェブページ「3月10日に中之島公園で『さよなら原発 関西2万人行動』」のちらしイメージ、あるいはそのページからダウンロードできるチラシの PDF をご覧下さい。

2013年2月16日土曜日

日本政府、核兵器非合法化の動きに同調せず:第24回国連軍縮会議

 さる1月30日から2月1日まで静岡市において、第24回国連軍縮会議が開催されました。地元の静岡新聞以外は、これをほとんど報道していないようですが、2月12日付け朝日紙夕刊の「窓・論説委員室から」欄がこの会議に関連した「核軍縮と人道」と題する記事を掲載していました。

 その記事によれば、同会議において最も熱を帯びた議論を呼び起こしたテーマは、「核兵器の非人道性」だったということです。会議ではノルウェー政府代表が、核の使用による「壊滅的な人道上の結果」を理由に、核兵器を非合法化する努力の強化を訴えたそうです。ノルウェーを初めとして、世界の35カ国が核兵器の非合法化を目指しており、核廃絶を求める市民団体代表らも賛同したということです。

 ところが、この動きに日本政府は、米国の「核の傘」に安全保障を依存する立場から同調していないのです。会議の初日に、天野万利・軍縮大使は、「いきなり核兵器の非合法化を目指さず、段階的に核軍縮を進める必要」を強調したそうです。

 「窓」子は、「北東アジアでの核依存低下と軍備管理で、日本がより積極的な役割を果たさないと、核軍縮の主張も弱々しくなる」と、政府の姿勢を批判しています。この政府批判はよいのですが、「核依存低下と軍備管理」というより、もっと進んだ核兵器廃絶に向けても、二つの原爆投下を受けた日本こそが先頭に立って努力すべきです。一方では、核兵器の非合法化に尻込みする姿勢を取りながら、他方で、朝鮮民主主義人民共和国の核実験を非難しても、その非難には説得力が伴いません。

多幡記

2013年2月14日木曜日

軍事対抗主義に拍車をかける朝日紙

 昨2月13日付け朝日新聞は、「『核の脅威』認識転換を:北朝鮮核実験」と題する編集委員・加藤洋一氏の意見記事を掲載しました。氏は、朝鮮民主主義人民共和国による今回の核実験を受けて、「実際に何を達成したのかは分からないが」としながら、「日本にとっての脅威は[米国]より深刻だ」と述べ、「抑止力の強化も考えなければならない」、朝鮮民主主義人民共和国の「『核の脅迫』に屈せず、最悪の場合に自らを守る方策を真剣に検討すべき段階に近づいたという、新たな脅威認識が必要だ」と主張しています。これは、安憲法9条改悪を狙う倍内閣がとり始めた軍事対抗主義に拍車をかけるものにほかなりません。

 軍事対抗主義は、互いに軍備増強の泥沼に陥るだけで、そこから真の平和は決して生まれません。メディアの主張の役割は、政府の誤った政策を批判することにあるべきですが、安倍内閣の愚かな政策をさらにあおったのでは、挙国一致で戦争に突入した過去の失敗を繰り返すことになります。「核の脅威」からわが国を守るために最も有効な方策は、憲法9条を徹底して守り活かすことです。他国に何の害も脅威も与えない国が、戦争を仕掛けられる理由はないのですから。

多幡記

2013年2月12日火曜日

「憲法を守る一大国民運動の発展をよびかけます」:全国革新懇がアピール

 全国革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす全国の会)が2月7日、表記題名のアピールを発表しました。8日付け『しんぶん赤旗』が報じました。アピールの全文は、こちらでご覧になれます。以下には、『しんぶん赤旗』の記事に沿って、概略をお伝えします。

 アピールは、安倍内閣と改憲勢力が、くらし、平和、民主主義など、あらゆる面で国民の願いを踏みにじる暴走を始めており、その障害になる憲法を変えようとしてる、と警鐘を鳴らしています。具体的には、改憲勢力が解釈改憲で「集団的自衛権行使」に踏み込み、そのあとで、憲法96条を変えて改憲の発議要件を緩和し、憲法9条改悪に向かうスケジュールを描いていると指摘しています。

 そして、侵略戦争への痛苦の反省から生まれた憲法9条があったからこそ、日本は戦後68年間、戦争によって一人の外国人の命もうばっていないことを述べ、これは世界でも誇るべきことであり、改悪を絶対に許してはならない、と主張しています。

 また、日本国憲法の平和・人権・民主主義の原則がいまも世界で先進的なものであるとして、「憲法を守り生かしてこそ、国民が願う国づくりと、世界から信頼される日本の進路が実現できると確信します」と力説しています。

 世論調査で国民多数が憲法9条を支持していること(「朝日」53%、「毎日」52%が「9条改正に反対」、いずれも12月28日)にもふれ、「『原発ゼロ』『オスプレイノー』『TPP参加阻止』『消費税増税反対』など、各分野で未曽有の国民運動が広がっています。これら、憲法の理念ともひびきあう流れを結集し、大きく共同を広げ、全国の草の根で改憲阻止のたたかいを発展させようではありませんか」と訴え、思想、信条、党派の違いを超えた一大国民運動の発展を呼びかけています。

多幡記

2013年2月10日日曜日

「九条の会」メルマガ第158号:呼びかけ人からのメッセージ;安倍首相の危険な政策 急ピッチ

 表記の号が2013年2月10日付けで発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。以下に、トップ記事「呼びかけ人からのメッセージ」と編集後記を引用して紹介します。なお、メルマガ読者登録はこちらでできます。
呼びかけ人からのメッセージ
 1月28日、九条の会事務局は国会内で記者会見を開き、呼びかけ人の4名の人びと (大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝、鶴見俊輔)からのメッセージを発表しました。 メッセージの全文を紹介します (PDFファイルです)。
http://www.9-jo.jp/opinion/20130128yobikake-message..pdf
九条の会ニュース167号にも掲載されています。
http://www.9-jo.jp/news/9jouNews/130129news167.pdf
編集後記~安倍首相の危険な政策、急ピッチ
 前号本欄で、在外邦人救出を口実に自衛隊法改悪を進めようとする例を引き、参院選を待たずに、安保防衛問題でも安倍首相の危険な動きが進んでいることを指摘した。いま同様の動きが次から次へと出始めた。7日の国会では軍隊慰安婦問題で、またも「軍の直接関与」を否定した。また同日、第1次安倍内閣で靖国神社参拝ができなかったことは「痛恨の極みだ」などと発言した。また政府は日本船籍の船に乗り込む外国の民間警備員を想定してライフルなど小銃の所持・使用を認める日本舶警備特別措置法案(仮称)を今国会に提出するという。また政府内には航空自衛隊の次期主力戦闘機となるF35戦闘機の部品の共同生産をめぐり、武器輸出三原則を事実上、緩和する動きがある。さらに政府は国家安全保障会議(いわゆる日本版NSC)設置にむけた有識者会議を15日に開こうとしている。8日には第1次安倍内閣が組織した「安全保障の法的基盤の再構築に関する有識者懇談会」を全く同じメンバーで再開し、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の変更に乗り出した。これらはいずれも憲法9条の精神をその足下から掘り崩す危険な動きだ。
3月3日の「学習会」を今後の九条の会の運動にとって有意義なものとしたい。

2013年2月7日木曜日

「沖縄、根拠なき負担」、池澤夏樹さん

 朝日紙夕刊に月一回掲載されている池澤夏樹さんのエッセイ「終わりと始まり」の2013年2月分(2月5日付け)は、「沖縄、根拠なき負担」と題されています。池澤さんはこのエッセイで、沖縄問題、すなわち、沖縄の人々が訴えるオスプレイ配備の撤回と普天間基地の県内移転反対が、緊急かつ重要であるとして、その背景を考察し、近い将来の危険に警鐘を鳴らしています。

 池澤さんは、沖縄に海兵隊を常置させる根拠がない理由を幾つも挙げています。尖閣諸島を巡る防衛問題において沖縄の海兵隊が抑止力にならないこと、いま沖縄の海兵隊が主任務としている環太平洋各国との共同訓練も沖縄を基地にする必要がないこと、沖縄経済が米軍基地がなければ成り立たないというのは過去の話であること、などです。そして、このような条件下でも沖縄問題が解決できないということから見えて来るのは、日本人の大半が沖縄に対して抱いている構造的差別であり、国の中の地域対立は国を揺るがすことにもなると述べ、さらに、オスプレイの墜落予想まで記しています。

 しかし池澤さんは、沖縄以外の1都2府42県の人々が、この問題にどう対応すべきかの答えを与えていません。海兵隊が沖縄にいる必然性がないことは、日本にいる必然性もないのと同じです。私たちは、米軍基地の日本からの撤去、そして日米安保条約の破棄を政府に迫るべきではないでしょうか。憲法9条を守り活かすことこそが、日本の力強い防衛力なのです。

多幡記

2013年2月6日水曜日

戦争体験を語る:岩津恭子さん

「何十年たっても忘れられません」
鳳中町・岩津恭子さん
 この記事は、2010年5月11日付けで本会第2ブログサイトに掲載したものの転載です。(第2ブログサイトは、転載済みの記事から消去し、いずれ廃止する予定です。)

 学徒動員を終えた私が、昭和20年3月、女学校を卒業して、大阪市立の女学校の事務員として勤めた頃です。空襲警報が鳴りますと、重要書類箱を抱えて防空壕へ走りこむのが日課でした。その箱の中には天皇の「御真影」も入っていました。その日も、いつものように警報のサイレンが鳴り、防空壕へ走りこんだとき、背後でバシビシッと大きな音がはじけたのです。振り返ると、後ろから走りこんできた二人の生徒の背中に弾が命中して倒れたところでした。

 思わず私は息をのみ、空を見上げると、何と飛行機がすぐそこにきており、操縦士の顔が一瞬見えました。その顔はウサギを追う猟師のようで、心地よさそうにニヤリと笑っていたのです。武器も持たずに逃げている子どもを何で殺すのでしょうか! 弱冠十六歳だった私はぶるぶると怒りに震え、天を仰ぎ神を呪いました。戦争は人間をこれほど狂わせるのでしょうか!

 いのちを生み育てる母親として、このようなことは絶対に許せません。戦争が終わって一時は、生き残った安堵感と希望を感じましたが、罪もないあの女学生を殺したこの戦争を、何十年たっても絶対忘れることはできません。この悲惨な歴史の事実とわれわれ高齢者の貴重な体験を、戦争を知らない世代の若者に必ず語り継いで、平和な未来を作る夢を実現させるため、生きている限りがんばり続けます。

『憲法九条だより』第2号(2006年12月1日)から

2013年2月4日月曜日

4/13「I LOVE 9条 さよなら原発:落合恵子さんが語る いのち・平和・核」


 表記の集会が次の要領で開催されます。ぜひ、多数ご参加下さい。
  • 日時:2013年4月13日
    開場 午後1時
    開会 午後2時
    閉会 午後4時
  • 場所:堺市民会館(地図はこちら) 大ホール
  • 第1部(30分)
    映画『64歳のデモデビュー:3.11が私を変えた』
    監督・松原 明
    —今、一人ひとりのアクションを堺市内のあちこちで!—
  • 第2部(90分)
    さよなら原発—いのち・平和・核—
    おはなし・落合 恵子さん
  • フロアー展示(開場から閉会まで)
    福島第一原発事故の現状:震災・原発事故から2年・現状を訴える
  • 参加協力費:大人 1,000円、学生・障がい者 500円
      手話通訳、保育あり
  • 主催者と連絡先:
    主催:I LOVE 9条堺実行委員会
     [事務局] 堺市堺区一条通20-5
      銀泉堺東ビル6階 堺総合法律事務所気付
      TEL 072-221-0016 FAX 072-232-7036
      事務局携帯 080-8318-1981
      Email sakai9zyo@yahoo.co.jp
落合恵子さんのプロフィール
 1945年生まれ。文化放送アナウンサーを経て、作家活動に。執筆と平行して、東京青山、大阪江坂に子どもの本の専門店「クレヨンハウス」、女性の本の専門店「ミズ・クレヨンハウス」、オーガニックレストランなどを主宰。総合保育雑誌『月刊クーヨン』発行人。しなやかでかつ温かさに溢れた言葉で、平和、自由、人権、環境保護、女性、教育問題などを語り、憲法を守る運動や、怒りを込めて脱原子力発電をめざす活動をしている。著書に『母に歌う子守歌 私の介護日誌』『積極的その日暮らし』『自分をだきしめてあげたい日に』、その他翻訳書など多数。東京家政大学特認教授。

2013年2月2日土曜日

赤川さんが批判する恐ろしい現実:再び起る原発大事故を考えようとしない安倍氏、経団連、電力会社

 『図書』誌に連載の赤川次郎さんのエッセイ「三毛猫ホームズの遠目鏡」が、2013年2月号では第8回となり、「フィクションと現実」と題されています。フィクション部分は、「時計の針を大きく逆に戻したような」昨年末の総選挙結果にからんで、二つの「謎」に注目し、それらを「私がポリティカルフィクションを書くなら」として、選挙の舞台裏を想像した話です。

 「謎」の一番目は、「この時期に総選挙になれば民主党の惨敗は目に見えていたのに、突然の野田首相の解散」であり、二番目は、「北朝鮮のロケット発射」です。これらについて、赤川さんでなくても、裏を想像することの好きな人ならば考えなくもないかと思われるフィクションの筋書きが示されています。その話はご想像にまかせるとして、もっと不気味なのは、このエッセイの現実についての部分です。

 赤川さんはその現実を最大の「謎」であり、「これこそ、どう作家が想像力をめぐらせても理解しがたい」として、次のように記しています。
 安倍氏、経団連、電力会社、その誰もが、「3・11」の、あの大地震の凄まじさ、大津波の破壊力、そして爆発した建屋の中すら今も分らないという原発事故の恐怖を経験していながら、これから起る大地震——間違いなく起るのだ——で再び原発が大事故を起すことを「考えようとしない」ことである。
 赤川さんはさらに、ベルギーに住むヴァイオリニスト、堀米ゆず子さんが「3・11」後のメールで、「初めのうちこそ日本を被害者として同情してくれていたヨーロッパの人々が、次第に日本を加害者と見るようになっている」といって来たことを紹介し、以下のように指摘しています。
 日本のマスコミは、あえて震災とその復興ばかりを取り上げているが、世界の関心はむしろ原発事故の方にあるのだ。…中略…今、正に日本は目をふさぎ、耳をふさぎ、口を閉じて危険に向かって歩き出しているのである。
多幡記