麻生副総理が「ナチスを例に挙げたことが誤解を招いた。撤回する」と弁明しながら、謝罪も辞任もしないことについて、元関東学院大教授・ジャーナリストの丸山重威(まるやま・しげたけ)氏が「安倍改憲戦略と麻生発言の本質」と題する一文を『しんぶん赤旗』に寄稿しました(8月9日付けで掲載)。氏は、この発言は「本音」であり、安倍内閣の改憲戦略と密接に関わっていることを問題にしなければならない、と述べています。私は氏の見方に全く同感するものであり、以下に寄稿の概略を紹介します。
丸山氏はまず、ナチスの政権獲得から80年になる今年、メルケル首相が1月30日に「ナチスの台頭は、彼らと共に歩んだ当時のドイツのエリートや彼らを黙認した社会があったため可能になった」と述べた言葉を引用して、ヒトラーが最も民主的な憲法だとされたワイマール憲法の下で、合法的に政権を獲得し、その後「全権委任法」という民主主義憲法下では考えられない法律を制定して暴走したことを説明します。そして、麻生副総理が、ナチスのこのような手法を指して「いつの間にか憲法が変わっていた」「これを見習わなければならない」と述べたことは、安倍政権の改憲戦略である当面の解釈・立法改憲路線の具体論だと指摘します。
安倍内閣は、集団的自衛権の行使を可能にするため、安保法政懇の答申を得て、「集団的自衛権は認められない」とするこれまでの政府解釈を改めて、「国家安全保障基本法案」を成立させようとしており、これに備えて、すでに内閣法制局長官も交代させています。この法案は、憲法9条を骨抜きにする憲法違反の「下克上立法」ですが、国会の多数で成立すれば、ナチス政権下の全権委任法のように、違憲の集団的自衛権行使が「合法的」にできることになります。麻生発言はこのように安倍改憲戦略と見事に符合するもの、と丸山氏は分析しています。
私たちは安倍内閣のこうした恐ろしい計画に気づき、草の根からの反対の声を大きくしなければなりません。
多幡記
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