2012年4月30日月曜日

九条の会・おおさか主催「2012憲法記念日のつどい」のお知らせ


2012憲法記念日のつどい
——憲法を生かして、いのちと平和をつむぐ——
  • 日 時:2012年5月3日(木・祝)
    1:30開演(1:00開場)
  • 場 所:エルおおさか・大ホール
    (京阪・地下鉄「天満橋」下車)
    会場地図はこちら
  • 参加費:1000円(学生500円)
    高校生以下、障がい者・介助者は無料
    *手話通訳あり
【プログラム】
  • ご挨拶 日下部吉彦さん・音楽評論家・音楽九条の会呼びかけ人
  • ミニ・コンサート 大阪女子高等学校軽音楽部
  • 講演 Ⅰ:森住卓さん・写真家(最新写真集「福島第一原発~風下の村」)「大震災の現場から」
  • 講演 Ⅱ:木下智史さん・関西大学法科大学院教授「いのちの現場をめぐる憲法の要請」(仮題)

2012年4月29日日曜日

日本がこれから歩むべき道のヒントは「非戦」では——日野原さん


 各党から続々改憲案が出る異常な事態(たとえば、こちらの記事参照)の中で、良心的な声も力強く発せられています。聖路加国際病院理事長の日野原重明さんは、昨4月28日付け朝日紙e5面の「100歳・私の証 あるがまゝ行く」欄で、5月3日の憲法記念日に寄せるとして、改めてご自分の説を訴えています。

 日野原さんの説は先にも紹介しましたが、「10年間という猶予期間をもうけ、米軍基地を国外に移し、移転費用は日本政府が持つ」というもので、さらに「基地跡地は平和の象徴、日本の楽園として整備していく」、「自衛隊は世界各国の災害地域にいち早くかけつけて救助活動を行う部隊と位置づける」というものです。

 日野原さんの説の細部には異論もあると思いますが、「カントはいかなる場合でも戦争を認めない『非戦』の精神を提唱しています。日本がこれから歩むべき道のヒントは、この『非戦』にあるのではないでしょうか」との基本的な考えは、国民一同が賛同し尊重すべきものと思います。(多幡記)

2012年4月28日土曜日

平和主義抹殺、明治憲法回帰のアナクロニズム:自民憲法改正草案


 自民党が4月27日、新しい憲法改正草案を発表したとの報道がなされました(たとえば、毎日紙「自民憲法改正草案:憲法9条に国防軍、天皇は『元首』」——以下に紹介する草案の要点は、この記事を参考にしています——)。

 9条に首相を最高指揮官とする「国防軍」を持つと明記し、天皇を「日本国の元首」と規定し、国旗・国歌への尊重義務を設けるなど、2005年にまとめた新憲法草案よりもさらに強い保守色を鮮明にしたものとなっています。

 9条については、また、現行の憲法解釈では認めていない集団的自衛権の行使の容認を明確化しています。そして、武力攻撃や大規模災害などの際に、首相が「緊急事態」を宣言し、国民が国の指示に従う義務があるとの規定も盛り込んでいます。

 憲法改正の発議要件については、現行の衆参両院の「3分の2以上」の賛成を「過半数」に緩和しています。

 さらに、「信教の自由」では、国や地方公共団体が、社会的儀礼や習俗の範囲内で宗教的活動に関与できると規定し、首相の靖国神社公式参拝への道を開く意向です。

 このような改正草案は、現憲法の平和主義を抹殺し、民主主義を弱体化させるものであり、明治憲法への回帰思想に満ちたアナクロニズム的なものといわなければなりません。(多幡記)

2012年4月27日金曜日

「九条の会」メルマガ第139号:明文改憲の動きに加え究極の解釈改憲、私たちも負けないで運動を


 表記の号が2012年4月25日付けで発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。主な内容は次の通りです。
  • 事務局からのお知らせ
    • 6/9 九条の会事務局主催「情勢学習会:9条をめぐる動きは、いま」6月9日(土)
    • 9/29 九条の会講演会:9月29日(土)午後(詳細未定)
    • 「第4回九条の会全国交流集会報告集」およびDVD「第4回九条の会全国交流集会 全体会の記録 」普及にご協力を
    • ブックレット「加藤周一が語る」重版できました
    • 「九条の会」リーフレットは、いま2種類
     など
  • 各地から:全国の草の根にはこんなに多彩な活動が
    • 九条の会・豊中いちばん星(大阪府豊中市)
    • 湘南大庭九条の会(神奈川県藤沢市)
    • たかつ九条の会(神奈川県川崎市)
    • たま九条の会(神奈川県川崎市)
    • 九条の会・おおさか(大阪府)
     など
  • 活動報告
    • 「少年兵の無念 シベリアから生還して」PDF版の公開、横須賀市民九条の会(神奈川県横須賀市)
  • 編集後記:明文改憲の動きに加えて、究極の解釈改憲(全文を以下に引用)
 この28日には自民党第二次改憲草案、たちあがれ新党改憲要綱、みんなの党改憲大綱などが相次いで出される予定です。加えて、自民党の国防部会と安全保障部会が集団的自衛権の行使の合憲化をねらって「国家安全保障基本法案」を立案すると言い出しました。これは歴代政府が違憲としてきた問題の合憲化で究極の解釈改憲の企てだ、と思ったら、渡辺周防衛副大臣が「この検討は避けられない」だと。私たちも負けないで運動のスイッチを入れましょう。

2012年4月14日土曜日

「君が代」2:その替え歌


 「堺からのアピール:教育基本条例を撤回せよ」のブログに、「『君が代』替え歌」と題する記事が2012年3月30日付けで掲載されていました。記事は二通りの替え歌を紹介していますが、「別の替え歌」として後の方に掲載してあるものが、元のものらしく思われました。そこで、「君が代替え歌」をインターネット検索してみると、「空耳アワーな、素晴らしい君が代替え歌」と題するブログ記事("P-navi info" 2006年5月29日)に、「別の替え歌」の方が産経新聞に紹介されたとして、次の通り引用してありました。
   Kiss me(私にキスして)
Kiss me, girl, your old one.
(きーみーがーよおは)
Till you're near, it is years till you're near.
(ちよにいぃ、やちよぉにぃ)
Sounds of the dead will she know?
(以下、本歌略)
She wants all told, now retained,
for, cold caves know the moon's
seeing the mad and dead.

【訳】 私にキスしておくれ、少女よ、このおばあちゃんに。
おまえがそばに来てくれるまで、何年もかかったよ、そばに来てくれるまで。
死者たちの声を知ってくれるのかい。
すべてが語られ、今、心にとどめておくことを望んでくれるんだね。
だって、そうだよね。冷たい洞窟は知っているんだからね。
お月さまは、気がふれて死んでいった者たちのことをずっと見てるってことを。

 産経紙からの引用をした P-navi 子は、この歌詞について、「もうとても感心してしまった」と書いています。私も、よく出来ていると思いました。替え歌の意味について産経紙は、「政府に賠償請求の裁判を起こした元慰安婦と出会った日本人少女が戦後補償裁判で歴史の真相が明らかにされていくのを心にとどめ、既に亡くなった元慰安婦の無念に思いをはせる—という設定」と説明していたそうです(元の記事は、現在インターネット上にはないようです)。

 また、同紙はある大学教授の、「国旗国歌法の制定後、正面から抵抗できなくなった人たちが陰湿な形で展開する屈折した抵抗運動だろう。表向き唱和しつつ心は正反対。面従腹背だ。…」という意見も載せていたということです。民衆の抵抗運動(独善的な暴力行動などはこれに含まれません)は、いつの時代でも、無謀な悪政を正そうとする正当なものです。そうした運動を「陰湿」とする見方こそは、屈折しているといわなければなりません。P-navi 子も「人にはいろいろな抵抗が許されるのよ。『陰湿な』というのは、イヤだと思っている歌を無理矢理歌わせることでしょう?」と述べています。

 なお、「君が代替え歌」の検索結果から、2011年3月2日の朝日紙が、「尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件などをきっかけに自民党は保守色を強めており、『君が代』の替え歌など国歌への侮辱に刑事罰を科す改正案も検討する」という内容を含んだ記事を載せていたことを知りました(ウェブサイト『まとめたニュース』の「『君が代』の替え歌など国歌への侮辱に刑事罰を科す改正案を検討」と題するページ)。こういう記事は朝日紙だけとして、疑問も投げかけられています(ウェブページ「君が代替え歌に刑事罰検討 不敬罪の復活?」、ベストアンサー以外の回答の1件目)。

 しかし、自民党が替え歌に刑事罰ということを本当に検討しているとすれば、それは、思想弾圧がまかり通った敗戦前の暗い時代への逆行を企むものであり、陰湿さも極まるというものです。ブログ "Afternoon Cafe" の著者も、2011年3月4日付けの記事でこの件にふれて、「自民党はこのような明白な思想弾圧法案を憲法違反でないと考えていることになるわけです。自民党の民主主義や人権に対するセンスは絶望的にゼロだと断言します」と、批判しています。(多幡記)

2012年4月10日火曜日

「九条の会」メルマガ第138号:改憲勢力の「攻勢」が続いています


 表記の号が2012年4月10日付けで発行されました。詳細はウェブサイトでご覧になれます。運動に活用しましょう。主な内容は次の通りです。
  • 事務局からのお知らせ
    • 6/9 九条の会事務局主催「情勢学習会」
    • 9/29 九条の会講演会(詳細未定)
    • 「第4回九条の会全国交流集会報告集」およびDVD「第4回九条の会全国交流集会 全体会の記録 」普及にご協力を
    • ブックレット「加藤周一が語る」重版できました
    • 「九条の会」リーフレットは、いま2種類
    など
  • 各地から:全国の草の根にはこんなに多彩な活動が
    • さがみはら九条の会(神奈川県相模原市)
    • 大田たまがわ九条の会(東京都大田区)
    • 高岡地区「9条の会」(富山県高岡市)
    • 富士見町九条の会(東京都東村山市)
    • 九条の会・ひがしなだ(神戸市東灘区)
    など
  • 編集後記:産経新聞が新憲法起草へ、安保環境激変に対応、委員会初会合「国新たにする覚悟で」(タイトルのリンク先は新聞報道。編集後記全文を以下に引用)
 政界やメディアの一部から相次いで吹き出している改憲論。産経も同社の改憲案を起草するという。1994年の読売改憲試案につぐ大手(?)メディアの改憲草案だ。改憲勢力の「攻勢」が続いていますね。

2012年4月6日金曜日

「君が代」1:そのルーツ


 先月の福泉・鳳地域「憲法9条の会」世話人会議で、堺市堺区宿院町東4丁にある顕本寺(けんぽんじ)に「君が代」 のルーツを示すと見られる屏風があり、そこに記されている歌は、いずれも遊郭で歌われていたものであるとの話が紹介されました。そのことについて、インターネット上のどこかにもっと詳しく書いてないだろうかと調べたところ、次のウェブページが見つかりました。

 (1) 「君が代」のルーツが堺の寺に!? 顕本寺の僧創作の隆達節、日本共産党大阪府委員会ウェブサイト(2007年05月25日)
 (2) "隆達節" の『君が代』~江戸時代の「ラブソング」だった、ブログ『耳を洗う』(2008年6月24日)

 (1) は,記事の著者が元衆議院議員・経済学者の工藤晃氏の取材に同行したことの紹介ですが、(2) は同氏が2008年3月にその取材結果を含めて書き著した本『エコノミスト、歴史を読み解く:君が代、軍人勅諭から狂言、ミッキーマウスまで』(新日本出版社)を引用していて、より詳しい説明となっています。以下に、(2) の要点を紹介します。

 工藤氏は、新村出編『広辞苑(第4版)』(岩波書店)に、「君が代」の歌詞が「江戸時代の隆達節(りゅうたつぶし)の巻頭第一にあるものと同じ」とあるのを見て調べ始めたそうです[紹介者注:私の持っている『広辞苑(第3版)』(1983)にも同じ記述があります]。隆達節とは「江戸初期の流行歌。泉州堺にある日蓮宗顕本寺の僧隆達(1527~1611)が創めた小唄。1600年ころに流行、近世小唄の源流をなした。隆達小歌」(『広辞苑』)のことです。

 堺の顕本寺に隆達の墓があり、現住職夫妻は「歌謡の元祖」隆達を顕彰するため心血を注ぐうち、戦前顕本寺にあった隆達の屏風がボストン美術館にあると知り、その返還を求めました。しかし、返還はして貰えなくて、その屏風の「写し」が寺に存在するそうです。

 屏風は六曲一双で、自由奔放な遊里の風景が四面分に描かれ、両側に隆達の筆による書があります。1602(慶長7)年、隆達75歳。最初の[一面]第一首が「君が代」の歌詞と同じ、「君が代は千代に八千代にさざれ石の岩ほとなりて苔のむすまで」です。他には、「おもいきれとは身のままか誰かはきらむ恋のみち」、「雨の降る夜の独り寝はいずれ雨とも涙とも」などの「恋歌(ラブソング)」が並んでおり、「君が代」の「君」は明らかに親しい人、愛する人を指しています。

 工藤氏は調査結果を踏まえ、次のように結論付けています。
 一、「君が代」は国歌にふさわしくないと考える。付け加えて言えば、酒の席などで歌っていた歌を、子どもたちに厳粛な顔をして歌わせるのはいかがなものか。

 二、 「君が代」問題は、日本の文化のあり方にかかわっている。日本の古典芸能を大事にする立場から、「君が代」の問題を再考しなければならない。いつの日かまた、隆達が隆達節の第一に「君が代」をおいた平和を愛する心を考え、隆達のこの心が復元される日が来ることを願うものである。

 『「君が代」2』としては、その替え歌の話を紹介したいと思っています。(多幡記)

 追記:この記事をご覧の一人の方から、「わがきみは千代にやちよにさざれいしのいはほとなりてこけのむすまで」(古今和歌集、巻七、三四三、読人しらず)の存在を指摘されました。この歌については、『広辞苑』の「君が代」の説明中にも、「さかのぼれば」として記してあります。上記の記事中「ルーツ」の言葉で表しているのは、全く同じ歌詞になった時点のものとご理解下さい。

2012年4月5日木曜日

ブログ記事紹介:「僕、悪くないもん」


 「僕、悪くないもん」。子どもの喧嘩の話ではありません。「【堺からのアピール】教育基本条例案を撤回せよ」のブログ記事だといえば、おおよそ見当がつきますね。4月4日付け読売新聞の記事「捏造リスト問題、大阪市労連に謝罪せず…維新市議団方針」を紹介したブログです。紹介ブログ記事の題名をつけた人のセンスのよさに感心しました。(多幡記)

2012年4月1日日曜日

憲法9条を変えれば、あらゆる分野の自由圧迫が強まる:毎日紙インタビューで高橋哲也さん


2012年3月26日付け毎日新聞のインタビュー記事「今、平和を語る:哲学者・東大大学院教授、高橋哲哉さん」が、先般の「福泉・鳳地域『憲法9条の会』」世話人会議で話題になりました。同じ記事が、本日付けの【堺からのアピール:教育基本条例を撤回せよ】事務局のブログ記事「競争と管理は教育の自殺 お上の幻想で子ども不在:高橋哲哉さん」にも紹介されています。

高橋さんは、大阪府と大阪市のいわゆる教育基本条例案(府は可決)について、次のように述べて鋭く批判しています。
 […]教師の処分に関する内容が微に入り細をうがっています。だが、子どもに関する記述がほとんどありません。子どもたちは今、どうなっているのか、教育を考えるためにはそこから始めるべきだと思います。統計的には引きこもりや不登校が相変わらず多く、その根本原因は解明されていません。条例案には、そうした問題を考えようとする姿勢が見られず、教職員の管理を強めれば教育がよくなるという幻想に囚(とら)われているように見えます。

私たちは、憲法9条に関連して、記事末尾にある高橋さんの次のような発言にも注目したいと思います。
 新自由主義と新国家主義の価値観をもつ政治家は、教育基本法を変えたことで、個人の育成から国家の方針に沿う国民をつくろうとしています。仮にですが--自民党の改憲原案にあるように、憲法9条を変えて日本軍が米軍と一体化して武力行使を行うことが可能になれば、それこそ国のための自己犠牲を国民に要求してきます。そのための「精神教育」を押しつけ、表現の自由を含めてあらゆる分野の自由を圧迫する動きが強まるでしょうね。
 そういう「精神教育」であってはならないと、戦後は戦前と違う教育理念を掲げて出発しました。しかし大きく後退しているのが実情です。

多幡記