2013年11月3日日曜日

『日本の科学者』11月号特集「安倍政権を問う—改憲と歴史認識」(3)


 前2回に続いて、日本科学者会議の論文誌『日本の科学者』2013年11月号特集「安倍政権を問う—改憲と歴史認識」の論文を、その要約を引用して紹介します。なお、同誌は書店あるいは発行元「本の泉社」の通販サイトで購入できます(税込み600円)。

 韓 冬雪「安倍政権の歴史認識と改憲問題──アジア諸国から見た安倍政権の危うさ」:アベノミクスを掲げて再登場した安倍政権は、政治的には危うさを秘めている。彼の政治理念は保守主義と民族主義にもとづいている。歴史認識では、近代日本の侵略の歴史を否定し、戦争責任を追及した東京裁判の意義を認めない。日本が加害国となった侵略戦争を否定したのでは、被害国であるアジア諸国や中国との信頼関係は構築されないであろう。

 宋 柱明(訳・金 美花)「参議院選挙後の右翼国家主義的政治地図──韓国の進歩的観点による分析と提言」:衆参両院で保守勢力が3分の2以上を占めたことを受け、自民党は軍事大国化に向かう国家主義戦略に拍車をかけるであろう。保守支持の社会的背景として生活の危機に瀕した青年層の自発的「右翼化選択」という現象がみられる。これにたいし[筆者は本稿において、]日本の集団的経験にもとづく歴史認識をふまえた市民の「進化した民主主義」を求めた。(注:[ ]内は、分りやすくするため、引用者が挿入。)

 小林義久「オバマ政権と歴史認識問題──安倍政権をどう評価しているか」:安倍政権下で歴史認識問題が再燃している。「戦後レジーム」からの脱却を掲げ、日本国憲法改正を目指す安倍政権の集団的自衛権容認に向けた憲法解釈見直しや靖国神社参拝などの動きに中国、韓国が反発しているためだ。オバマ米政権も安倍政権が国家主義的な傾向を強めれば、東アジアの安全保障体制だけでなく、第2次世界大戦後の国際秩序を揺るがしかねないと警戒し始めた。

 以上で、『日本の科学者』11月号特集論文の紹介は終わりです。

(文責・多幡)

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