詩・浅井千代子(本会世話人)
雨が降っています
経験したことのない大雨だそうです
我が家では万両の植木鉢が転げ落ち
生垣の落ち葉が掃いても掃いても限りがない
でもTVの映像は目を覆うばかりです
災害地は
山が崩れ道は消え
堆積した土砂の上に落下した大木が横たわる
増水し溢れた川の流れに
抉られたコンクリートの橋が木の葉のよう
道路は滝のように降る雨と
下水管から噴き上る水で大川となり
渦を巻いている
その流れにさらわれ屋根や車が粗大ゴミ同様に浮き沈みしてゆく
高速道ではブレーキが利かなくなった車が風雨に翻弄されている
まるで天が怒り狂っている有様
あの春雨 梅雨 秋雨 氷雨の
日本独特の風情は何処に行ってしまったのか
人間が進歩 発展 開発などと
自然を侮った報いでしょうか
降り止まぬ雨が
哀しくも激しい音楽を奏でている
『異郷』第26号(2013年10月)から
挿絵・多幡達夫
挿絵・多幡達夫
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