安倍首相らは「集団的自衛権の行使」は「国際法上も国内法(憲法)上も認められている」と主張しています。しかし、どちらにも行使の根拠がないことを、新井章(あらい・あきら)弁護士が、2013年9月24日付け『しんぶん赤旗』紙上で説明しています。以下に、その説明の要点を記します。
安倍首相らのいう国際法上の根拠とは、国連憲章51条を指していますが、同条が認める国連加盟国の自衛行動は、あくまで安全保障理事会が国際平和の維持に必要な措置をとるまでの、一時的・限定的な緊急措置にとどまるものです。
また、この条項は、旧来の自衛武力の行使にこだわる加盟諸国の要請をかわしきれないで、書き残されたものであり、これを根拠とした自衛行動は、国連憲章の大原則である国連中心主義に背を向けた、好ましくないものといわれても仕方がありません。さらに、憲章51条にある「集団的自衛の固有の権利」という言葉も、外交的な駆け引きの「所産」といわれている導入経緯があり、「国際法上」の根拠としては、重みを欠くものです。
より重要なことは、仮に憲章51条が「集団的自衛権の行使」の「国際法上の根拠」を与え得るとしても、それが「日本国憲法上の正当性(適法性)」にはならないということです。「集団的自衛権の行使」を主権国家としてわが国が承認するかどうかは、わが国独自の判断に属することです。わが国政府が半世紀にわたって堅持して来た「国内法的には、憲法9条の制約があり、集団的自衛権の行使は許されない」とする憲法解釈は、改変される理由がないと確信しています。
[新井弁護士は、1955年代半ばの砂川事件以来、百里基地訴訟、長沼ナイキ基地訴訟など憲法にかかわる裁判にたずさわり、家永教科書裁判では弁護団の中心となりました。1991年茨城大教授。著作に「憲法第九条と安保・自衛隊」(日本評論社、1981)などがあります。("kotobank"「新井章」を参照しました。)]
多幡記
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