2013年5月30日木曜日

「なぜ96条を変えてはいけないのか」:伊藤真氏の『世界』誌論文


 雑誌『世界』2013年6月号は『「96条からの改憲」に抗する』と題する特集をしています。その中の、弁護士・伊藤真氏による論文「なぜ96条を変えてはいけないのか」が、5月29日『しんぶん赤旗』の「論壇時評」(田代忠利氏執筆)に取り上げられていますので、その記事によって紹介します。

 自民党などの憲法96条改定の動きは、立憲主義に反するとして、9条改憲派の人々も含めて、多くの国民から批判を受けています。伊藤氏の論文は、立憲主義をその原点から擁護しているということです。

 立憲主義とは、そもそも何でしょうか。伊藤氏は次のように説明しています。多数意思もしばしば誤りを犯します。それを避けるため、「多数決でも変えてはならない価値を前もって憲法の中に書き込み、多数意思を反映した国家権力を制限する」、それが「立憲主義という法思想」です。憲法改正権をもつのは国民のみであり、国民から命令される側が自由に改憲できないよう、改正要件を厳しくしているのです。

 伊藤氏は「手続要件を緩和する意図は憲法9条改正のための下準備にある」と看破しています。そして、9条改憲で可能にされる集団的自衛権と国防軍創設が日本に危険をもたらすことを指摘しています。「『戦力によらなくても外交努力によって自衛はできる』という考え方を押し進め、より外交交渉力を高めるほうが、日本の国民を守ることにつながる」という優れた主張が述べられています。

 なお、『世界』誌には、青井未帆さん(学習院大学)の「憲法は何のためにあるのか──自由と人権、そして立憲主義について」という論文もあります。執筆に際しての青井さんからのメッセージが岩波書店の『世界』6月号目次ページにリンクされています。その中で青井さんは、『「今あるルールを変更したいのだけど、変更する手続きは煩瑣だし、変更できるか分からない。だから変更のルール自体を変えちゃいましょう!」というのは、私たちの社会常識からしても、相当におかしいことです』と96条改定の動きを批判しています。

多幡記

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