3月27日付け朝日紙夕刊「窓 論説委員室から」欄が、表記題名の記事を掲載しました。記事は「改正手続きをさだめた96条の見直しを突破口に、安倍政権は憲法をどんなふうにしたいのか」、「9条もさることながら、気になるのは民主政治を支える21条の扱いだ」として、自民党の『日本国憲法改正草案』の一部についての批判を記しています。以下に、自民党案を参照して、「窓」欄の批判を分りやすく説明してみます。
現憲法の12条でも、「憲法が国民に保障する自由及び権利」について、「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」と書いてあり、裁判所がチェックと調整の役目をになってきています。自民党案は、まずこれを「常に公益及び公の秩序に反してはならない」と変えて、規制色を強めています。そして、さらに表現の自由についての21条で、現憲法の同条にない第2項を設け、「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、ならびにそれを目的として結社をすることは、認められない」と書き加えています。
「公益及び公の秩序」を重ねて持ち出すのは、法の構成としてもまことにお粗末だと筆者は思いますが、「窓」欄もこれを「二重のしばりをかけるつくりになっている。ずいぶんと念の入った話で、私はそこに表現の自由に対する『敵意』を感じてしまう」と批判しています。
また、「窓」欄は、自民党の『日本国憲法改正草案 Q&A』の Q14 への答に、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えることによって、「人権が大きく制約されるものではありません」と書かれていることを述べ、「たいしたことありません。大丈夫ですよ」と「権力が猫なで声を出すときは、こわい」と指摘しています。最近、記事の政権寄り傾向がはなはだしい朝日紙ですが、たまにはよいことを書いています。
私たちは、自民党案から「窓」欄の指摘するこわさ以外にも多く存在するこわさを読み取り、このような憲法改悪を決して許さないようにしなければなりません。
なお、『しんぶん赤旗』に連載された「解剖 自民党改憲案」(1月11~25日付け、全12回)が一部加筆されてパンフレット『全批判 自民党改憲案』として発行されました。自民党改憲案の条文全体が検討されています。A5判、定価200円(税込)、送料80円、購入は最寄りの共産党事務所か出版局まで、となっています(こちらの広告を参照しました)。
多幡記
後日の追記:朝日紙「窓 論説委員室から」欄の記事をほめた直後の2013年3月末で、同欄は終了となりました。
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