2013年9月26日木曜日

「秘密保護」法は日本国憲法を形骸化させる:右崎正博教授


 独協大教授・右崎正博氏(憲法学)は、「秘密保護」法について、「日本国憲法の国民主権、平和主義、人権保障という基本的人権に根本的に矛盾し、憲法を実質的に否定するものとならざるをえない」と批判しています。2013年9月25日付け『しんぶん赤旗』が、氏の談話を掲載しました。以下に氏の批判の要点を紹介します。

  • 国民主権原理の後退:国民主権のもとでは、国民が国政のあり方について最終的な決定権を持っていますが、そのためには国民が国政に関する事項について十分な情報を持つ必要があります。ところが、秘密保護法は、国の安全保障にかかわる重要な情報を「特定秘密」としてアクセスを制限し、漏えい等の行為を禁止するものです。これでは、国家の命運や国民生活への影響が重大である情報ほど国民の目から遠ざけられることになり、国民主権原理は後退させられます。
  • 平和主義との関係と範囲増殖の危険:戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認をうたっている9条のもとでは、軍事的機密は容認の余地がありません。実際には9条のもとでも、「防衛」の範囲に限定した秘密の保護が現行法で規定されています。しかし、秘密保護法の「特定秘密」は、防衛だけでなく、外交、テロ活動にまで範囲を広げており、その規定は概括的で、範囲が増殖していく危険もあります。
  • 人権保障上の問題:人権保障の観点でも、プライバシーの権利(13条)、思想・良心の自由(19条)、表現の自由(21条)などと衝突します。「特定秘密」の漏えいが処罰の対象となれば、表現の自由を支える「報道の自由」や「知る権利」が侵害されることになります。「特定秘密」を扱う者だけでなく、その親族等のプライバシーや思想・信条に関する事項まで国家が調査する「適性評価制度」も、プライバシーの権利や思想・良心の自由に対して深刻な問題を起こします。

 右崎氏は「日本国憲法をこのように形骸化させる秘密保護法を許していいのか。民主主義が試されている問題として、国民一人ひとりがこの問題を受け止める必要がある」と訴えています。

多幡記

2 件のコメント:

  1. これ、私も反対署名を出そうかと思っています...(´Д⊂もう、社会現象になった深夜アニメの世界になってるやないですか...orz

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  2.  内閣が実施したパブリックコメント募集では、反対意見が圧倒的でした。これに対して、「組織的な投稿があったのではないか」などと、文句をいった自民党の人がいました。あきれたものです。

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