太平洋戦争末期の大阪大空襲などで甚大な被害を受けた被災者・遺族に国が救済や補償を怠ったのは憲法違反として、政府に謝罪と補償を求めた原告21人が、1月29日、請求を棄却した大阪高裁判決を不服として、最高裁に上告しました。1月30日付け『しんぶん赤旗』がこれに関連して伝えている内容を、以下に紹介します。
大阪空襲訴訟原告団・弁護団は同日声明を発表しました。声明は、1972年に最高裁大法廷が表明し、87年の名古屋空襲訴訟の最高裁判決でも繰り返された「戦争被害は国民すべてが等しく受忍(我慢)しなければならない」とする、いわゆる「受忍論」を復活させたと、大阪高裁判決を批判しています。「受忍論」は、大阪地裁判決や東京大空襲訴訟の東京地裁・高裁判決では採用しなかったという流れになっていましたが、大阪高裁判決はこれを無視したのです。
声明はまた、軍人や軍属らを補償対象とする一方、援護法の対象外とする空襲被災者との格差は、今後も拡大し続けると指摘しています。そして、判決が「原告らの思いに応えるものとは到底言えない」と述べ、「今後最高裁で、さらなる努力を続ける」と決意を表明しています。
原告団代表世話人の安野輝子さんは、「5年間無我夢中でたたかってきました。最高裁で原告が期待している結果を得たいと上告しました」と語りました。
——補償に格差のある事実に注目すれば、「受忍論」に根拠のないことは、火を見るよりも明らかではありませんか。
多幡記
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