北村実氏(早稲田大学名誉教授)は、2008年の論文「平和主義の先駆——憲法第9条の意義」(『日本の科学者』Vol. 43, p. 460)に次のように記しています。
法学協会『注解日本国憲法』(有斐閣、1953)は、「これほど徹底的に、つまり自衛及び制裁の場合を含めて一切の戦争を放棄し、更に進んで軍備までも廃止した憲法は他に見当たらない」とし、第9条の平和主義が「世界史的意義を有する」と高く評価してやまない。
法学協会『注解日本国憲法』(有斐閣、1953)は、「これほど徹底的に、つまり自衛及び制裁の場合を含めて一切の戦争を放棄し、更に進んで軍備までも廃止した憲法は他に見当たらない」とし、第9条の平和主義が「世界史的意義を有する」と高く評価してやまない。
北村氏は、このような評価を裏書きする証拠はいくつもあるとして、次の3例を挙げています。
- 憲法9条の先駆的意義をアメリカ人として誰よりも確信したチャールズ・オーバービーが、1991年に9条の世界への普及を提唱し、国際的な「9条の会」を世界で初めて発足させた。
- 1999年にハーグで開催された平和市民集会が、「公正な世界秩序のための10原則」の冒頭に、「各国議会は、日本国憲法第9条にならい、自国政府に戦争を禁止する決議をすべきである」との原則を掲げた。
- 2008年に千葉の幕張メッセで初の「9条世界会議」が開催され、ノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア(北アイルランド)が基調講演で、「日本の平和憲法は世界中の人々に希望を与え続けて来た」と、9条の意義を改めて強調した。
そして北村氏は、憲法9条は「人類の悲願だった不戦・非武装の理想の歴史上初の実定法化」、「主権国家のエゴイズムを乗り越えようとした最初の試み」として世界の共通目標になろうとしているのであり、これを守り抜く責務が私たち日本国民に課せられている、と指摘しています。
私たちがこの責務を果たせるかどうかが試されるときが、いままさに近づいています。憲法9条のたぐいのないよさを学び、広めて行きましょう。
多幡記