2012年11月15日木曜日

原発の非倫理性 2


 11月14日付け『しんぶん赤旗』の「学問・文化」欄に、18日まで東京・俳優座劇場で上演中『いのちの渚』の紹介がありました(記事の題名は「原発の本質 訴える力持つ」。『いのちの渚』公演案内のウェブページはこちら)。

 1989年に福島第2原発で起きた事故と事故発生直前の保修課長の変死に取材した吉村公一郎の戯曲で、今回が初演とのことです。紹介している演劇学研究者・北野雅弘氏は、戯曲の展開の単調さや設定の不自然さを指摘しながらも、課長の梶木(川井康弘が演じる)の寡黙な正義感とその妻理恵の優しさの描写は作品に奥行きを与えた、と賞賛しています。

 そして、なによりも、「嘘とごまかしを重ねる東電と国の無責任、その横暴は、[2011年の福島第1原発の]事故以来多くの住民を苦しめて来た。この作品がまさに今観客に訴える力を持つのは、人を踏みにじるその非道が原発の本質に由来し、私たちの社会がそれと共存できないことを示しているからである」との指摘に重みを感じました。上演の成功が期待されます。

多幡記