防衛省は2013年7月26日、本年末の防衛計画の大綱(防衛大綱)見直しに向けた検討の中間報告を公表しました。 その特徴を、例えば東京新聞7月26日付け夕刊は、次のように報じています。
離島へ強襲上陸する海兵隊のような機能の拡充や、北朝鮮によるミサイル攻撃を念頭に敵の発射台などを直接たたく「敵基地攻撃能力」保有の検討を明記したのが特徴。過去の大綱には盛り込まれたことがない内容で、従来の抑制的な安全保障政策からの転換を求める自民党に配慮した。(詳細はこちら)
これに対して、7月27日付け同紙は、「大綱見直し 専守防衛逸脱せぬよう」と題する社説を掲げています。社説は、「海兵隊は『殴り込み部隊』とも言われる。他国侵略の意図ありと受け止められれば、周辺国には脅威と映る。軍拡競争に陥っては本末転倒だ」、「日本政府はこれまで防衛力の抑制的な整備に努めてきた経緯があるが、安倍内閣になってそのタガが外れるようなことはないのか、気になる」、「今回[の大綱見直し]は防衛省内の会議だけだ。国民の生命と財産、憲法に関わる問題でもある。内輪の議論だけでなく、幅広く意見を聞くべきではないのか」などと、問題点を指摘しています。
しかし、社説が「日本周辺の安全保障環境の変化に応じて防衛計画を見直すのは当然」、「島国の日本には多くの離島があり、これらの領土、領海、領空を守るのは日本防衛の要だ。中国公船が頻繁に領海侵入を繰り返す事態を見れば、離島防衛の必要性が増し、重点的に防衛力を整備しなければならない状況は理解する」などと、「理解」を示しているのは問題だと思います。安全保障環境の変化や離島問題に対応してなすべきことは、いっそうの外交努力でこそあるべきで、その姿勢が全く見られないままに軍備増強に走るのは、わが国を軍国主義の国に替えようとすることにほかなりません。
多幡記
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