政府は、独立法人宇宙航空研究開発機構法(JAXA 法)が宇宙開発を「平和の目的」に限定している規定を削除する方針で、そのための関連法案を今国会に提出することが報じられました。
JAXA 法はその第4条に、人工衛星の開発や打ち上げ、追跡などの業務を「平和の目的に限り」実施すると明記しています。この「平和目的」規定は憲法の平和原則を反映したものであり、守り抜くべきものです。
JAXA 法から「平和の目的に限り」との規定を削除するのは、宇宙の軍事利用を禁じた法的歯止めを取り去ることによって、JAXA がもつ技術などを軍事政策に組み込むのが狙いです。戦争を放棄した憲法をもつ日本が宇宙の軍事利用を拡大して、戦争態勢づくりを強めるのを、私たち平和を望む国民は見過ごすことが出来ません。
JAXA 法の改悪は、財界・兵器産業界の要求に従ったものです。経団連は昨年5月の「宇宙基本法に基づく宇宙開発利用の推進に向けた提言」で、JAXA 法の「平和目的」規定が宇宙基本法の宇宙利用規定と整合性がとれていないとして、JAXA 法の「改正」を求めています。
実は、宇宙基本法は、日本の宇宙開発を「非軍事に限る」とした1969年の国会決議を投げ捨てて、軍事利用に道を開いた悪法なのです。軍事衛星打ち上げによって大きな利益を図ろうとする財界の身勝手な要求を許してはなりません。また、JAXA の研究者・技術者を軍事研究に追い立てるという事態も、あってはならないことです。
わが国が第2次世界大戦の前に歩んだのと同じ道を、いまふたたび歩んでいると危惧するのは、私たちだけでしょうか。
多幡記
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