浅井千代子
大阪知事市長選挙が終わった
と間も無く両当選者のニュースが流れた
横山ノックが大量の票を掻き集め
楽々と知事の座についた時もそうだったが
今回維新の会の圧勝は
それ以上に深刻で
大阪に幻滅を感じた
維新という地域政党への
不信感と不気味さ
何か弱者が追いつめられてゆく
悲しい予兆のような気がする
その上反対派であった
複数の既成政党が早々に
餌にたかるハエのようにすり寄ってゆく節操のなさには
憤りさえ覚える
期間中
じっとしていられない思いで
知人兄弟達に支持している候補者のビラを
送るっていたので挨拶かたがたペンをとる
妹にはついペンが滑った
—自分は信州人でよかった?—
そして慌てて書き添えた
—あんた大阪生まれやったね!失礼!—
怒ったのかその後妹からの反応はない
生粋の大阪人である夫はというと
わたしの言動を
例の独りつぶやきと承知してか
机に向って黙したまま
十二月 初冬の庭
育んでいる
ミヤマシャクナゲの蕾と向き合う
凛として健気
確かな生命の営みの前
思わず心がほぐれる
空気の澄んだ
冷たい早朝であった
(本会世話人。詩は同人誌『異郷』への投稿原稿で、同誌2012年1月号に掲載された。挿絵は多幡)
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