2011年5月22日日曜日

東日本大震災と憲法九条


 今年の憲法記念日は大震災直後の大変な中で迎えました。まずは、震災の犠牲となられた方がたへ深い哀悼を表し、被災された方がたへ心からのお見舞いを申し上げます。被災された方がたの悲しみや苦しみを癒し、生活を再建することこそ復興の目的であり、そのための一番の力になるのが日本国憲法であると思います。3名の方に大震災にあたっての思いを述べていただきました。
(『憲法九条だより』編集子)

国境を越えて自然災害とこそ戦わねば
 津波で破壊された市町村の様子は、太平洋戦争中の空襲で焼け野原にされた都市を思い起こさせます。近年、世界各地で大規模自然災害が発生しています。人類は国境を越えて手を取り合い、自然災害とこそ戦わなければならないのです。その意味からも、憲法九条を変えてはならないことが明らかです。
 自衛隊が災害救助に活躍している報道が盛んになされましたが、だからといって、政府が周辺国を敵視して防衛力を増強することに、弾みをつけさせてはいけません。米軍による救助復興支援活動も行なわれていますが、それを代償に沖縄の米軍基地問題をアメリカ言いなりの方向に進めるようなこともあってはなりません。
 また、原発事故は専門家たちが指摘した安全対策を、自民党から民主党に至る政権がなおざりにして来た人災です。政府は国民の暮らしの安全を計ることを第一に考えるべきです。
上・多幡達夫

憲法を原点に復興活動を
 木々の緑、心地よい風に思わず深呼吸をします。しかし、今年は3月11日に東日本を襲った大地震で、例えようもない悲しみの中でめぐる季節となりました。テレビなどで目にする被害の大きさ・無残さに震え、政府や東京電力の対応に怒りを覚えます。家族を失い、家を失い、仕事を失い、ふるさとも消えた人びとはこれからどうするのか心配です。
 ところが、財界や政府は復興を口実に、農業の集約化や道州制の導入、消費税値上げなど、被災者に追い討ちをかけるようなことを語っています。また、自衛隊の活躍が伝えられていますが、必要なのは災害救助隊です。米軍も活躍しましたが、これを機に日米安保体制の強化を目指すのではないかと心配です。
 さらには、「緊急事態規定」のない憲法は欠陥として、改憲の動きがあります。政府が「緊急事態」に対応できないのは憲法のせいでしょうか?「火事場泥棒」的なやりかたで九条改悪に道を開く動きは許せないと思います。
上・荒川加代子

憲法25条の実行
 阪神淡路大震災から16年、防災に関心を持ち、微力ながら地域で防災活動をしてきました。近い将来に必ずくると予想されている東海・東南海・南海地震。そして、予想されていた宮城県沖地震が今回、未曾有の規模で発生しました。しかも原発事故が重なり、多くの貴重な命と財産が消滅してしまいました。まさに日本沈没を感じます。津波の痕は終戦時の破壊された日本の風景と似ていると感じました。戦争は人間が起こした一番悲しいことで、殺し合いほど悲しいことはありません。でも、地震や津波は防ぐことの出来ない自然災害です。
 今回の原発の事故は、それが必要なエネルギー源であっても、人災であり、想定外といってすむことではありません。国や電力会社や専門家は世界有数の地震国として備えをすることは当然であり、それが憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を実行させ、ひいては平和を守ることになると考えます。被災された皆さんの復興もこの点をしっかり踏まえた方向で、一日も早く実現することを願っています。災害は繰り返しやってきます。災害から命を守るには「自分の命は自分で守る」を日頃から意識することも大切です。
鳳中町・Y・A

『憲法九条だより』No. 14(2011年5月10日)

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