2012年8月9日木曜日

未来は

詩:浅井千代子(本会世話人)

『あたらしい憲法の話』(1947年、文部省)中の戦争放棄についての説明部分の挿絵[日本平和委員会の復刻版(1976年)による]。文部省が同書を発行した当時、全国の中学校1年生がこれを教科書として学んだ。

人殺しはイヤ
戦争って所詮は殺し合い
殺すのもイヤ
殺されるのもイヤ

衆参両院の憲法審査会が活発化し
改憲の動きが心配になってきた
改憲(九条)して
一番喜ぶのはアメリカでしょう
現憲法がアメリカの押しつけと言いながら
アメリカの意向に添うように
自ら憲法を改めようとしている

憲法施行六十五年
この国がまがりなりにも戦争を避けてこれたのは
平和憲法九条が大切な箍(たが)の役目を
果たしてきたから
その箍を外し
性懲りもなく軍国日本の再来を企んでいる
中国はけしからぬ
北朝鮮不気味
政府マスコミこぞって
怖い怖いとけしかけ
自国はアメリカと親分子分の関係で
しっかり脅しをかけ
それ故
互いに軍拡競争の際限なき悪循環を繰り返している
のには
目を瞑っている

曾て
この国は戦争により散々な目に遭ってきた
おかげで半世紀以上未だにアメリカの占領下にあるも
同然
沖縄が一番それを象徴している
また多くの一般戦争犠牲者が見捨てられた儘だ
特に多大な迷惑をかけた近隣諸国へ
十分な謝罪をしていると思えない

戦争は決して平和をもたらさない
国の為にと生命を賭けさせるより
地球の世界の人類の平和の為に
九条に生命をかける
それこそが
この国の平和と
子供達の輝く未来につながる
(二〇一二年五月三日憲法記念日に)

『異郷』第21号(2012年7月)から