さる8月15日付け『しんぶん赤旗』は、第3面に「戦争終結67年:アジアと日本国民に大惨害」と題する特集を組んでいました。この特集は、「領土の拡張を目的に」、「戦死者の6割が餓死」、「天皇制の護持を優先」の中見出しのもとで、戦争が日本とアジアに何をもたらしたのかを振り返っています。
「領土の拡張を目的に」の項では、1940年9月に大本営政府連絡会議の決めた「日独伊枢軸強化に関する件」が、日本、ドイツ、イタリアの間で世界を再分割し、中国、太平洋島しょ、インド、オーストラリア、ニュージーランドまでを日本の「生存圏」とする構想を明記しており、対米英戦の目的がまさに領土拡張のためのものだったことを述べています。
また、占領地に対する方針(「南方占領地行政実施要領」、1941年11月)は、「差し当たり軍政を実施し治安の恢復、重要国防資源の急速獲得及作戦車の自活確保に資す」、「独立運動は過早に誘発せしむることを避くるものとす」と決定しており、「アジアの解放」とはまったく無縁だったことを明らかにしています。
「戦死者の6割が餓死」の項では、藤原彰著『餓死した英雄たち』から、日中戦争以降の全戦死者約230万人のうち約60%が広義の餓死者だったと推定されていることを引用して、他国民の生命、人権を無法・残虐にじゅうりんする日本軍が、自らの将兵に対しても非情だったことを述べています。
いま国民は、このように資料にしっかりと基づいた正しい歴史認識をこそ必要とされています。
多幡記