2012年4月1日日曜日

憲法9条を変えれば、あらゆる分野の自由圧迫が強まる:毎日紙インタビューで高橋哲也さん


2012年3月26日付け毎日新聞のインタビュー記事「今、平和を語る:哲学者・東大大学院教授、高橋哲哉さん」が、先般の「福泉・鳳地域『憲法9条の会』」世話人会議で話題になりました。同じ記事が、本日付けの【堺からのアピール:教育基本条例を撤回せよ】事務局のブログ記事「競争と管理は教育の自殺 お上の幻想で子ども不在:高橋哲哉さん」にも紹介されています。

高橋さんは、大阪府と大阪市のいわゆる教育基本条例案(府は可決)について、次のように述べて鋭く批判しています。
 […]教師の処分に関する内容が微に入り細をうがっています。だが、子どもに関する記述がほとんどありません。子どもたちは今、どうなっているのか、教育を考えるためにはそこから始めるべきだと思います。統計的には引きこもりや不登校が相変わらず多く、その根本原因は解明されていません。条例案には、そうした問題を考えようとする姿勢が見られず、教職員の管理を強めれば教育がよくなるという幻想に囚(とら)われているように見えます。

私たちは、憲法9条に関連して、記事末尾にある高橋さんの次のような発言にも注目したいと思います。
 新自由主義と新国家主義の価値観をもつ政治家は、教育基本法を変えたことで、個人の育成から国家の方針に沿う国民をつくろうとしています。仮にですが--自民党の改憲原案にあるように、憲法9条を変えて日本軍が米軍と一体化して武力行使を行うことが可能になれば、それこそ国のための自己犠牲を国民に要求してきます。そのための「精神教育」を押しつけ、表現の自由を含めてあらゆる分野の自由を圧迫する動きが強まるでしょうね。
 そういう「精神教育」であってはならないと、戦後は戦前と違う教育理念を掲げて出発しました。しかし大きく後退しているのが実情です。

多幡記