2012年7月5日木曜日

日本科学者会議が二つの決議:JAXA 法・原子力基本法改定への抗議とオスプレイの配備・運用拒否


 日本科学者会議常任幹事会は7月1日、「JAXA 法・原子力基本法改定に抗議し、科学・技術の国家統制を行わないよう求める」決議と、「米軍 V-22 オスプレイの配備・運用を拒否する」決議を発表しました。

 JAXA 法については、宇宙開発を「平和の目的に限り」(同法第4条)とする規定が削除され、「宇宙基本法第2条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり」に改められました。この改定は、これまで平和目的に限定した研究開発体制で優れた成果を あげてきた JAXA を、宇宙基本法の規定に基づき政府が軍事研究に動員できるようにする、重大な転換をなすものです。

 また、原子力基本法については、民主・自民・公明各党の議員立法による原子力規制委員 会設置法案の附則として提案され、原子力の研究、開発及び利用に関して、「前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、(中略)並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。」との条項が付け加えられました。これは、平和目的と称すれば日本が軍事を含む安全保障に資する核開発を行うことを可能とする法改定であり、平和憲法をもつ被爆国たる日本にとって極めて重大な決定です。

 以上のように、これらの法改定は、日本国憲法に反する内容であり、容認できないものであるとして、第1の決議は、政府が科学・技術の国家統制を行うことをやめ、国会が憲法の平和原則に反する今回 の改定条項を速やかに廃止するよう、強く求めています。

 V-22 オスプレイについては、その運用実績や米国の軍事戦略をみるならば、沖縄へのMV-22配備は、日本の国土防衛目的ではなく、日本に駐留する海兵隊が海外の戦場に兵員や物資をより機動的に輸送することを目的としていることは、明らかです。また、その機体の設計上・構造上の欠陥が指摘されており、実際に開発・配備段階を通じて重大事故を頻発させてきたことから、V-22 が配備・運用されると、沖縄と日本本土において、日常的に重大事故の発生する危険が予見されます。

 以上のことから、第2の決議は、V-22 の日本への配備と一切の運用に反対し、日本政府が日米同盟の再編強化をやめ、日米地位協定の速やかな抜本改定、および在日米軍、特に海兵隊の速やかな撤退へと政策を転ずるよう求めています。

 私たちも、これらの決議に述べられている国の不穏な動きに大いに注目し、これに反対する声の輪を広げて行かなければなりません。

 両決議の全文は、こちらでご覧になれます。
(多幡記)