10月30日の本会5周年のつどいは、雨天にもかかわらず、定員100名の会場に90名が集まり、大成功でした。本会代表の開会挨拶、参加者全員での歌「島人ぬ宝」と「青い空は」に続いて、朝日新聞社「be」編集部・伊藤千尋氏の話「活かそう 憲法9条!—東日本大震災と原発事故にむきあって」を1時間半にわたって聞きました。話の内容は、氏の海外での見聞などにもとづいた多彩なもので、大いに憲法9条を守る運動の励みになりました(その概要はこちら)。集会の情景の写真などは後日掲載の予定です。以下に、開会挨拶を紹介します。[写真は伊藤千尋氏の著書の1冊『活憲の時代:コスタリカから9条へ』。サインは会場で筆者が貰ったもの。]
皆さん、こんにちは。
私たちの福泉・鳳地域「憲法9条の会」は、2006年8月に発足し、日本が再び戦争をする国にならないように、国際紛争の解決に武力を使わないとしている憲法9条を、守りいかそうという運動を続けて来ました。そして、今年5周年を迎え、きょうはそれを記念する、集会を開催する運びとなりました。
さる3月11日に起こった、東日本大震災と福島第一原発の事故で、わが国が大変な状況にある中にもかかわらず、憲法9条をめぐる政治情勢も、 私たちにとって、いままでになく、油断の出来ないものになっています。 今年の春頃から、改憲派議員が、改憲を発議する要件を衆参両院の「3分の2」から「過半数」に変えて、9条改憲のハードルを引き下げようと、「憲法96条改正」を働きかけるかと思えば、また、今月21日には、衆参両院の憲法審査会が動き始めることにもなりました。
さらに、野田政権は、憲法の平和原則を踏みにじる政策を、次々に強行しようとしています。それは、「武器輸出三原則」の見直しや、南スーダンへの自衛隊派兵、そして、沖縄県民の意志に反する米軍普天間基地の辺野古「移設」などです。平和を望む私たちは、このような動きを見過ごしてはならないと思います。
話は少し変りますが、原発の事故に関連して、感じていることを、一言述べたいと思います。ノーベル賞物理学者の湯川秀樹博士は、わが国に原子力委員会が発足したばかりのときに、その委員になりましたが、間もなく体調不良という理由で辞任されました。その理由は表向きのもので、本当は、アメリカ製の原子炉を急いで輸入しようという、原子力委員長や政府の考えに、抗議しての辞任だったのです。
辞任の直後ぐらいに湯川博士が書かれた、日本の原子力問題についての随筆には、「いそがばまわれ」という副題がついていて、わが国の事情に合った原子炉の研究を、独自に行なうことの重要性が述べられています。原子力委員長や政府が、湯川博士の考えを受け入れて、地震や津波の影響の大きい日本の国土に合う形で、原子力利用を進めておれば、これほど大きな原発事故には至らなかったと思われてなりません。私たちはこのことを、政治が良心的な科学者の考えや、平和と安全を望む国民の声を無視すれば、どういう結果になるかという教訓として、受け止めるべきではないでしょうか。
平和や安全をおびやかすような政治の動きを、押しとどめようとする私たちの運動が、いまの厳しい状況の中で、皆さんと力を合わせて、これまで以上に盛り上がり、広がって行くために、きょうの集会が役立てば幸いと思います。
以上、開会の挨拶といたします。
(多幡記)
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