日本国憲法は施行65周年を迎えました。東日本大震災からの復興、消費税増税に頼らない社会保障の充実、沖縄米軍基地撤去などの実現に、憲法を生かすことがいまこそ重要です。しかし自民党など改憲派は震災や「政局」などを理由に、巨大メディアを味方にして、憲法改正の動きを再浮上させています。さらに、人権と民主主義を権力で窒息させる新たな動きも出ています。今回3人の方がたに憲法への思いを聞きました。順を追って紹介します。
市民の良識示し、反撃を
鳳東町・星 昭雄
(堺市職員労働組合副執行委員長)
橋下徹・大阪市長率いる「大阪維新の会」は、国政進出の足掛かりとして策定した「維新八策」原案で、憲法9条改定の国民投票や参議院の廃止など、憲法改定の主張を繰り広げています。橋下氏はツイッターで、「(被災地の)がれき処理が進まないのも、全ては憲法9条が原因」と主張するなど、平和憲法を敵視する発言・行動が相次いでいます。
そのような発言を繰り返す橋下「維新の会」が、異様とも思える「支持」を得ている背景には、民主・自民の「二大政党」に対する国民の不満と、時には暴言とも取れるアジテーション(扇動)に変化への「期待」を得てるということがあるように思えます。
しかし、橋下氏が大阪府知事・大阪市長として行ってきたさまざまなことを冷静に見れば、彼が国民の期待に逆行していることは明らかです。「子供が笑う大阪」と公約して府知事に当選した橋下氏が真っ先に行ったのが、府立高校の統廃合計画でした。また、障害者団体や福祉作業所などの補助金カット、中小企業振興費の削減などを強行する一方で、WTCビルの庁舎化など、財界が泣いて喜ぶ政策を次つぎと推し進めています。
さらに、橋下氏が大阪市長に就任して以降、市職員に対する思想調査や「君が代」斉唱の口元チェックなど、人権侵害も甚だしい事態が相次いでいます。これらの策動や「教育基本条例」「職員基本条例」の強要は、市職員や教職員に対しての攻撃にとどまらず、府民・住民に対するものであることを、広く知らせていくことこそ、橋下「維新」の暴走を止める最大の力となるのではないでしょうか。
堺地域では4月、「『教育基本条例案』『職員基本条例案』を否決した堺市議会の良識ある判断の維持を求める要請署名」の運動がスタートしました。「『大阪都構想』から堺市を守る自由と自治・堺の会」も活動をはじめ、立場や思想信条を越えて力を合わせる舞台が作られました。
また、「堺市の未来と大阪都構想を考えるフォーラム」の第3弾として、来たる6月9日には「旭堂南陵師匠と語る堺の歴史・文化のつどい:『大阪都構想』から自由と自治を守るために」(午後1時30分から堺市民会館で)が開催される運びとなっています。これらの運動のひとつひとつを大きく成功させることで、堺のまちと市民生活、そして平和憲法を守る世論を大きく広げましょう。
『憲法九条だより』17号(2012年5月10日)から