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編集後記:知事選の石丸伸二候補の素顔
都知事選は編集子が応援した蓮舫候補が石丸という奇妙な候補の後塵を拝して、残念ながら3位となった。この総括は各所で行われると思うので、筆者が「私と憲法」という「市民連絡会」の会報に書いた総括的文書の石丸候補に関する部分のみ転載する。
石丸候補は腐敗した自民党政治対野党の一騎打ちの対決構図に割って入って争点を隠す役割を果たした。具体的な政策はなく、既成の政治に対する不満、不信、絶望を、「冷笑による抵抗」=冷笑主義=シニシズムで真の闘うべき対象をあいまいにして、「無党派層の受け皿」をねらった。
財政改革の失敗などで広島の安芸高田市長を1期で投げ出した政治屋・石丸伸二を拾い上げ、支援し、「お化け」に作り上げたブラックな勢力が存在した。素人を装った自民党の非主流(改憲・反動勢力)による野党の都政奪還阻止の動きがあった。
小田全宏(選対本部長)は松下政経塾出身で首相公選改憲論、TOKYO自民党政経塾塾長代行(塾長は萩生田都連会長)で、息子が電通の部長を務める自民党の深谷隆司都連最高顧問の娘の連れ合いだ。選対事務局長は藤川晋之介という、いくつかの政党の選対畑を渡り歩いてきた政治屋が担った。さらにコアな幹部には札付きの改憲派・田村重信(自民党政調調査役、政調嘱託などを歴任した改憲派)という、統一協会・世界日報のインターネット番組「パトリオットTV」のキャスターで、櫻井よしこの国家基本問題研究所客員研究員がいる。鳥羽博道(ドトールコーヒー創業者・選挙参謀)も莫大な資金援助をしたが、これはAPAホテルや、ニトリ、DHCなど財界非主流・右派の部分がよくやる動き方だ。
統一協会などを使って、運動員のコア部分を固めて、都内240カ所の街頭演説と有料拡散のユーチューブで無党派層を引き付ける特異な運動だった(JNN出口調査で無党派層の36%が支持した)。選対事務局長の藤川が朝日新聞で語ったところによれば、「自民にも立憲にも投票したくない層。政策で勝負しても全く意味がない。ユーチューブで投稿させる。11回の演説で100万、200万の視聴になる。この手法は1回限りだ」という。これはユーチューブという新しいツールを駆使して既成の政治に対する反発と不満をカネで煽って引き付ける新しいファシズムの登場だとはいえないか。
蓮舫候補が重視した具体的な若者政策ではなくて、選挙後、人口減少対策を「例えば一夫多妻制を導入するか、遺伝子的に子どもを生み出すとか」などと語るという危ういイデオロギーもファシズムのそれだ。(T)
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